ニッサン ステージア 直噴エンジンVQ25DD インテーク系の煤蓄積除去作業。 3万キロでリフレッシュプラン その1。
東京都からお越しいただいたのは、
ニッサン ステージアAXIS NM35
H17年式 V6直噴エンジン VQ25DD
走行距離 3万キロ
提案型整備(リフレッシュプラン)のご依頼です。
http://minato-motors.com/refresh/
年式はH17年ですが走行距離はわずか3万キロ。
メールからの希望整備や不具合点をお聞きすると、
・Rデフ マウントブッシュ 液漏れ
・エンジン吸気系の煤蓄積
・低回転域でのトルク低下
・ブレーキキャリパーのO/H
上記の整備を希望されました。
入庫までにイロイロ打ち合わせをして、
前金制になりますがある程度の部品を事前入荷しました。
予約日に入庫してもらい、まずは問診。
そこから試運転をして事前ホイールアライメント測定。
リフトアップしてタイヤを外し車両全体を点検します。
点検結果と希望整備からオススメの整備プランを
お聞きしている整備予算から提案させていただきました。
その作業内容を順番に紹介していきますね~。
まずは煤蓄積とトルク低下の原因から診ていきましょう。
ガソリン直噴エンジンの吸気系統に煤が蓄積する事は、
このブログ読者なら既にご存知だと思います。
どうやら最近になってやっと一部の高感度な整備士の方にも、
この煤蓄積でエンジン不調や原因不明の症状が、
発生している事が話題になっています。
電気制御系や各センサー数値、エンジンの圧縮や点火状態、
どこを調べても問題が無くて辿りついたのが(煤蓄積??)
エンジンオーバーホールでしかキレイに除去できず、
また作業工賃も高額になるため予算的に断念。
・直噴エンジンってどうなんだ??
・従来型のE/Gより耐久性がないのかな??
そんな誤解も生まれているそうです。
海外ではポピュラーな直噴E/G系不具合なんですが、
日本でこれに着目している整備工場はごく少数でしょう。
ニッサン 直噴エンジンVQ25DDもそんな不安がよぎりますが、
弊社のDSCでどこまで除去できるのか?
トルク低下が改善するか?をユーザーさんに相談されました。
それではインテークバルブが見えるまで、
E/G吸気系を分解していきます。
トヨタ系直噴では内部EGRを利用しているので、
スロットルバルブへの煤吹き返しは少ないです。
ですがニッサン系は外部EGRバルブから導入しているので、
スロットルバルブ裏まで真っ黒になっていますね。
さらにサージタンクも分解していきます。
さらにスワールコントロール付の
インテークマニホールドを外しました。
ここで6つの吸気経路が12の経路に分かれます。
これでやっと6気筒12ポートが見えてきました。
インテークバルブの様子も確認します。
直径3cm深さ15cmの吸気ポートの底にある
インテークバルブに大量の煤が蓄積してますね。
(他社E/Gと比べてもかなり深くそして狭い。)
これでは吸気の気流を乱す原因になるので、
良い状態とは言えないと思いますよ。
このような状態になればエンジンO/Hをして
インテークバルブをヘッドから外して磨かないと
キレイに除去するのは難しいと思います。
(O/Hは費用が掛かり時間も掛かる。)
DSC(ドライアイス・ショット・カーボンクリーニング)
エンジンにノーダメージで短時間で完璧に、
煤を除去する弊社オリジナルの清掃系整備。
マスキングをしてドライアイス洗浄機に、
ドライアイスペレットを投入。
圧縮空気で高速噴射し煤塊を除去します。
それでは軽くショットしてみますよ~。
燃焼室に煤が行かないように
圧縮上死点にセットし全閉にて作業します。
カッチカチに固着したの煤カーボンも
ペレットが直撃した部分だけキレイになりました。
(熱収縮・昇華爆発力)
ドライアイスの特性を利用した洗浄方法。
数種類のDSC専用ノズル・アダプターを使い分けて、
全てがキレイになるまでショットを続けます。
スワールコントロールバルブも同時にDSCしました。
新品同様の輝きになりましたね。
煤まみれのサージタンクも同じくドライアイス洗浄します。
ガスケット類は純正品にて交換し、
元の状態に組み立てました。
スロットルバルブも清掃してエアエレメントも交換。
バルブ全閉位置と急速TASでスロットルを初期化。
吸気系はほぼ新車と同じ状態に戻りましたね。
今時のエンジンはガソリン・ディーゼル問わず、
吸気系の清掃作業は重要だとお伝えしています。
大昔のエンジンも煤カーボンやオイル付着はあったのですが、
スグに調子を落とすので分かりやすかったんですよね。
現在の電子制御でガチガチに制御された車両は、
多少汚れが蓄積してもECUが補正を掛けて動かします。
汚れが増加し補正量を増やし続ければ
どこかのタイミングで無理になり、
不具合が表面化し不調が初めて分る。
騙し騙しにECUが何とか止まらないようにしているので、
優秀と言えば優秀なのですがそれも限度があるのでしょう。
最新の車両ほどこういった清掃系の整備が増えているなと、
皆さんにお伝えしています。
次回ブログもステージアNM35の
リフレッシュプランを引き続き紹介しますね。
ATF交換やブレーキ系も整備しましたよ~
お楽しみに!!
HAPPY CAR LIFE!!
追記
VQ25DDへのDSCは初めてだったのでどこまで改善するかな?と思っていましたがユーザーさんから納車後のレビューをいただきました。
お互いの名前以外はそのまま全文無修正で公開します。
皆さん参考にどうぞ~。
・吸気をスムーズに流し最適な気流でシリンダーに充填。
・流入空気量に対し最適な燃料噴射量とタイミング。
・気流による攪拌で均一な混合気を作り理想的な点火燃焼。
E/G開発設計時と同じ状態になるよう整備したので、
性能が元に戻っただけなのでしょう。
私はそう思っています。