マツダ MPV LY3P ガソリン直噴エンジン 吸気バルブへの煤蓄積。 ドライアイス洗浄のDSCに追加対応しました~。
ガソリン直噴エンジンの吸気バルブに蓄積する
大量のカーボンを完全除去する(DSC)
ドライアイスショットカーボンクリーニングは、
弊社オリジナルの整備になります。
もともとトヨタ・レクサスのV6直噴エンジン用に
独自開発した整備なのですが、
少しずつ対応車種・エンジンを増やしています。
今時の低燃費エンジンは、
どのメーカーもほぼ直噴エンジンを採用。
国内だけではなく輸入車ももれなく同じ。
海外では直噴エンジンのカーボン蓄積は
比較的ポピュラーな整備のようで検索によくヒットします。
ですが国内の国産車に目を向けると
弊社以外からの情報発信はほぼ皆無に近い。
検索しても引っ掛かるのはみんカラ等の個人ブログか?
輸入車ショップのブログ記事ぐらいでしょうか。
大阪府南部からお越しいただいたのは、
マツダ MPV LY3P
ガソリン直噴ターボエンジン
走行距離65000km
車両全体をある程度の予算を掛けてリフレッシュする、
リフレッシュプランのご依頼です。
走行距離はまだ7万キロ未満ですが
新車から10年近く経過していますので、
この機会にリフレッシュ整備をする事になりました。
その会話の中で、
(このMPVの直噴もカーボンが蓄積しますよね?)
とご相談をいただきまして、
(もちろん直噴ですから強固に大量に蓄積しています。)
(ですがこのE/GにはDSCは作業実績が無いのです。)
とお答えしました。
DSCに初めて施工するエンジンの場合は、
ある程度は時間をいただいて作業をしています。
(馴れてくれば日帰り等で出来るのですが・・・。)
今回のお預かり期間に余裕があるリフレッシュプラン内で、
DSCを実施して欲しいと相談されましたので、
まずはDSCから紹介していきます。
その他のサスペンションやATF交換・ブレーキ関係の整備は、
次回ブログで紹介しますね。
DSC作業の前に完全暖機をし、
排気ガステスターで燃焼状態をチェックしました。
CO 0.27% HC 104ppm
ここから2000rpmまでエンジン回転数を上げて1分間維持。
触媒とO2センサーの温度を上げて活性化させます。
それでやっとCO 0.13% HC 93ppmまで下がりました。
理想はCO、HCともにゼロが良いのですが、
LY3P MPVのエンジンならこの結果は平均的な数値でしょう。
インタークーラーを外しスパークプラグを確認。
イリジウムプラグが装着されているので10万キロまで使用でき、
今回は交換しませんでした。
吸気ダクト・スロットルボディ・インテークマニホールドと順番に外していきます。
4気筒8ポートが見えてきましたので、
インテークバルブの様子を確認しますね。
インテークバルブの傘部には
カッチカチに固着したカーボンが蓄積。
バルブシャフト部には
カマキリの卵状にカーボンがこんもりと固着。
黒く光って見える部分はブローバイからのオイルが付着し、
硬く焼き付いています。
またポート内径にもビッシリカーボンがこびり付いて、
酷い状態でした。
この画像は望遠レンズで撮影しているので、
ポートの深さはあまり無いように写っていますよね?
(望遠レンズの圧縮効果)(スグに指で触れそう??)
でも実際は深さ10cm、直径3.5cmの狭く深いポートの
最底部にインテークバルブがあります。
非常に作業がしずらく目視も片目で見ないといけないので、
長時間の除去作業は難しいのが現状です。
そこでオススメするのが(DSC)
ドライアイス洗浄機を使用し、
数種類あるDSC専用ノズル&アダプターを使い分けて、
強固に固着したカーボンを除去します。
飛び散るカーボン片で車体が汚れぬよう、
完全防備のマスキング。
3M社高性能マスカーを使用していますので、
水・油・溶剤があったとしても塗装を完璧に守ります。
それでは軽くショットしてみますね。
軽い数秒のショットでここまで除去できました。
ドライアイスペレットを圧縮空気で高速噴射。
指で潰せるほど柔らかいドライアイスペレットが、
強固なカーボンに衝突します。
(熱収縮と昇華爆発力)
カーボンとバルブの隙間入ったペレットが、
一瞬にして昇華し体積膨張。
750倍に膨れ上がり僅かな隙間で炸裂し
それが連続し続け徐々にキレイにしていきます。
硬い粒子を打ち付けるサンドブラスト等は
メディアの研磨力で削っているので、
硬いメディアだと母材に傷が付き
柔らかいとなかなかキレイにならない。
またメディア残留の可能性もあり不具合がでる事もありうる。
ドライアイス洗浄の場合はスグに昇華しCO2になるので、
エンジン内に残留する事はありません。
サンドブラスト等とは剥離原理が異なり、
ドライアイスの特性を利用してキレイにしているんですよね。
そして金属製のエンジン部品やゴム製のシール等も
傷める事もなく短時間に完璧に除去が可能。
新車時と同じようにカーボン蓄積が無い状態まで、
キレイに除去しました。
ここまでキレイにスカッと出来るのは、
DSC以外では時間と費用の掛かるO/Hぐらいでしょう。
インテークマニホールド内にはカーボンとオイルが付着、
洗浄剤でキレイに洗い流しますね。
もちろんガスケットは純正品で交換します。
電子制御スロットルボディも清掃しました。
WAKO’Sスロットルクリーナーでキレイにします。
組み立ててエンジン始動。
完全暖機をしてから排気ガステスターで、
もう一度燃焼状態をチェックしますね。
アイドリング回転数も落ち着いて、
CO・HCともにほぼゼロまで回復しました。
きれいな燃焼状態になったのではと思っています。
18/8/11追記
納車2週間 1500km走行後にレビューをいただきました。
真夏のデュアルエアコンを作動時で今までは10km/Lが精一杯の燃費が、13km/Lを越えたそうです。
従来型ポート式燃料噴射(非直噴)は
燃焼室とインテークバルブの上流に、
インジェクターが装着されていました。
燃料を常に吹きかけるのでインテークバルブに煤が付着しても、
洗い流されていたので問題がなかったのです。
ですが直噴化が採用されインテークバルブ下流の
燃焼室内で燃料を直接噴射するので
バルブが洗い流される機会がなくなりました。
また燃料噴射から点火燃焼までの時間が短い直噴は、
微細な煤自体が発生しやすい。
微細化された燃料は気化して空気と混ざり混合気になりますが、
気化しきっていない燃料粒が混合気になる前に
高温で燃焼すると微粒子の煤に変わります。
この煤粒子が内部EGR機構によりインテークバルブに蓄積し、
徐々にエンジンパフォーマンスを低下させる。
エンジン開発部門ではいかに少なく最適な燃料噴射で、
最大のパワーとクリーンな排気を得る事を、
研究していると思います。
開発時と同じく計算された吸気渦が
いつまでも続けば良いですが、
残念ながら経年劣化による煤蓄積があると
理想的な気流渦が乱れるのです。
ほんの少しの無駄が積み重なり、
理想的な燃焼から徐々に離れていくのだと思っています。
少し前に愛知県から来店したトヨタ マ-クX GRX130
こちらはさらに酷く蓄積したインテークバルブの大きな煤塊。
吸気ポートの8割ほど塞ぐように巨大化したので、
3番気筒が失火しE/Gチェックランプが点灯したそうです。
地元のディーラーさんもさすがにお手上げ状態だったので、
ユーザーさんは弊社でDSCを実施しました。
確認すると3番と5番ポートが特に酷く蓄積していました。
その時は軽くショットしても、
塊が硬化して手強かったです。
完全除去にはなかなか時間が掛かりました。
最終的にはここまでキレイにし、日帰りにて納車しました。
自動車は使用すれば経年劣化を起こります。
それをメンテナンスで解消し長く良い状態で使用する事を
弊社では提案させていただいています。
というわけで弊社のDSCの対応車種が増えて、
MPV LY3P L3-VDTエンジンも対応可能になりました。
次回ブログはMPVのリフレッシュプランをご紹介しますね。
どうぞお楽しみに~!!
HAPPY CAR LIFE!!