アルファード MNH10系 リフレッシュプラン。 アクスルビームのブッシュ交換で・・・変磨耗完治??
神奈川県からお越し頂きました。
(多摩ナンバーですが・・・。)
アルファード MNH10W
H16年式 走行距離155000km
リフレッシュプランのご依頼です。
メール相談時には車両の左流れ と
リアタイヤの変磨耗(片減り)があり、
それらの解消をメインに依頼されました。
予約入庫からまずは問診。
希望整備と不具合・不満個所をお聞きして、
お預かりしました。
試運転をして排気ガスのテスト、
エンジン燃焼状態を確認します。
Tベルト・スパークプラグ等は交換済みだそうです。
エンジンは良好ですね。
ハンター社 最新アライメントテスター (ホークアイWA470)
入庫時のアライメント数値を測定しますが、
リアのアライメントは大きくトゥアウト。
特に左が酷くトータルトゥ・スラスト角も異常値です。
10系20系アルファード定番の
リアアクスルビームのブッシュ破損。
タイヤ着地状態でここまで亀裂が大きいのは、
なかなか酷い状態です。
アライメント数値異常の原因は、
このブッシュか?ビーム自体の歪みか?
どちらかでしょう。
タイヤの変磨耗に納得です。
タイヤを外して各部を点検。
不具合個所や気になる個所をチェックして、
整備プランを制作します。
希望整備や予算なども考慮しながら、
(もしこの車両が、私の車ならどうするか?)
そう思いながらプランニングしています。
プラン・見積を提案しオーナーさんと協議、
プランが決定すれば作業を開始します。
それでは作業内容を紹介していきますね~。
せっかく新品にしたタイヤが長持ちするよう、
まずは足回りから始めます。
リアアクスルビームの車体から下ろして
左右ブッシュを交換します。
SSTを使用してブッシュを交換するのですが、
ディーラーさんでも店舗によっては
お断りする作業のようですね。
慣れていないと非常に手間が掛かりますし、
SSTを常備していないとブッシュが外せないです。
またブッシュ位置決めがありますので、
正確に圧入しないといけません。
ちなみに私は何十台も交換しているので、
もう慣れました~。
リアスプリングのインシュレーターも
同時に交換します。
ブッシュを交換し組み立ててから
一度下ろして仮アライメント測定。
少し改善されましたが、数値的にはまだ異常値ですね。
しょうがないアノ手を使おうかな。
ショックアブソーバーも
カヤバ ニューSRスペシャルで交換します。
ブーツ・バンプ・マウント等も同時交換ですね。
リアブレーキはもう少し使えそうですが、
Frブレーキはダストが酷く、
ディスクローターの面も荒れていますね。
ローターへの攻撃性が高いブレーキパッドを
使用していたようです。
ディスク式の場合ブレーキパッドの隙間調整は、
キャリパーシリンダにある
こんな丸いゴム部品(ピストンシール)で行っています。
気密性を保ちフルード漏れを防ぐだけではなく、
ゴムの柔軟性を利用して
パッドのクリアランスを調整しています。
経年劣化すると柔軟性がなくなるので、
隙間調整がしづらくなるし、
音鳴りの原因にもなるのですよ。
ブレーキキャリパーは漏れがなくても、
定期的にO/Hをオススメします。
・Frキャリパーをオーバーホール。
・Frディスクローター研磨&耐熱塗装。
・Frブレーキパッド・バックシム交換。
WAKO’S BPR (防振・耐熱・耐久)
高性能ブレーキパッドグリスを、
バックシムに薄く塗りこみました。
耐熱塗装済みのディスクローター。
数キロ走行すればパッドの当り面のみ
キレイに剥がれます。
アイドリング安定化に
スロットル分解・ISCV清掃。
ワイヤー式スロットルは
スロットルバルブを清掃しても意味がない。
横に付いているISCVのバルブ開閉で、
アイドル・スピードを調整しています。
特殊工具で非分解モーターを外して、
ISCVシャッターバルブを清掃しました。
エアエレメントも交換しますね。
ATFもリフレッシュ交換します。
圧送式交換の前にオイルパンを脱着洗浄。
磁石の鉄粉を除去し
ガスケット、ストレーナーも交換しますね。
今回使用するのはアイシンAFW+。
アイシン製のATにアイシンオリジナルATF。
まずはイッキに全量圧送式交換。
奥に見えるのが新油。
中央ビーカーは廃油。
手前のモニターがプレ洗浄後のATF。
(15万キロ無交換はなかなか汚れが落ちない)
新油と比べるとまだまだですが、
廃油と比べると少しだけマシになりましたね。
このまま数十分間アイドリング状態。
もう一度AFW+で全量圧送式交換をします。
やっとここまでキレイになりました。
肉眼でみるとほぼ同等に透明度は回復。
ATFもオイルですから必ず劣化します。
定期的に交換して良い状態を保ちましょう。
カーエアコンリフレッシュα で
冷媒ガスをリフレッシュ。
冷媒ガスは多すぎても少なすぎてもダメです。
デンゲン社 エコマックスjrを使用して
重量管理で正確にチャージしました。
同時に全化学合成油(エステル系)を使用した
AC添加剤 NUTEC NC-200でコンプレッサーオイルを強化。
リアアクスルビームのブッシュ交換で
完治しなかったアライメントですが
どうやらビーム側に問題がありそうですね。
ですが事故暦も無くビームに損傷もないので、
何とかしましょうか。
ビームASSYを購入すると部品代だけで、
7万円ぐらいはしますので・・・。
アライメント調整パーツに定評がある、
SPC社のトヨタ用アライメント用リアシム。
角度の違う6種類のシムから仮数値を参考に、
右に2種類・左に1種類のシムを使用します。
リアハブ・ブレーキなどを外して装着し、
再組み立てします。
馴染ましてから測定し、
数値から外れていれば違うシムに交換。
数回作業して基準値ど真ん中まで調整しました。
これでタイヤの変磨耗は解消されるでしょう。
リア側が良好になれば
フロント側を調整します。
直進安定性重視のセッティングにしました。
このボリュームの作業なら
通常2週間のお預かりが平均的。
半分はプランニングと部品待ちで、
半分は実作業になります。
今回は目的が明確だったので、
事前に部品手配をし一週間で完了しました~。
本日もミナト自動車ブログ 日々是好日に
お越し頂きありがとうございます。
10系アルファードは非常に人気が高いですが、
走行距離と年数が増えると
経年劣化がみられる車両も多いですね。
でもキチンとした正しい整備をすれば、
まだまだ十分使用できると思いますよ。
リフレッシュプランをご希望の方は、
HP(お問い合わせフォーム)からご相談くださいね~。
どうぞ宜しくお願いします。
Happy Car Life!!