埼玉県からCX-5のDSC依頼。 sky-D2.2の煤除去作業。
埼玉県からお越し頂きました。
マツダ CX-5 KE2FW ディーゼル
H25年 走行距離 92300km
sky-Dのインテーク系に蓄積する煤を完全除去する
DSC(ドライアイス・ショット・カーボンクリーニング)
のご依頼です。
ありがとうございます。
普段は信号の少ない道を
30分以上掛けた通勤使用がメイン。
よくネットで言われる
・完全暖機をすれば、湿気が無くなり煤が固まらない。
・チョイ乗りは煤が溜まりやすい。
これって本当にそうなんでしょうかね?
確かめた人はいるのでしょうか?
そう思ってしまう今回のDSC作業です。
入庫後にスキャンツールを接続し、
ECUライブデータをチェック。
5つの数値を確認すれば、
だいたいの蓄積度が分かります。
蓄積具合を予想しながら
サクサク分解して
インテークマニホールドを外してみました。
過去のsky-DへのDSC入庫車両でも
トップ5に入るほどの蓄積具合。
ここまで蓄積していると、
遣り甲斐がありますね~。
インマニ入り口の吸気経路は
7割ほど煤で塞がっています。
これで走行出来ているので、
ある意味スゴイですね。
E/Gシリンダヘッド側の吸気ポートも、
なかなかの蓄積具合。
ポート内径が20%ほど狭くなっていますね。
恒例のホジホジをするとこんな状態で、
手作業での掃除はお手上げでしょう。
ですがDSCなら余裕で除去できますよ。
ところで
ここまで煤が蓄積するとどうなるのか?
チョット画像を交えて個人的見解を。
(間違っていたらゴメンなさい。)
赤矢印 フレッシュエア (ターボ過給・酸素O2)
青矢印 EGR系統 (煤多い・CO2)
過給空気とEGRが合流するインテークマニホールド。
(複雑な形状をしています)
インマニ入り口に煤が蓄積するとどうなるか?
簡単に言えばインテークマニホールドから
燃焼室までの吸気状態が、
・フレッシュエアが入りにくい。
・EGRが必要以上に入りやすくなる。
>EGRは不活性ガス(CO2)
>EGR経路は高温高圧のため煤は溜まらない。
>もちろん各EGRバルブにも蓄積しない。
>低温の新気と合流すると、インマニ以降で蓄積する。
下の画像のEGRパイプなどには、
煤が蓄積することは無いのです。
(薄っすら付着する程度)
EGRが過流入しやすい蓄積したインマニは
急加速時などにはECUが演算(想定)した以上に
EGRが流入します。
結果、排気ガスに煤が多くなり、パワー出ない。
(噴射燃料量に対してCO2が多くO2が不足しているから。)
スグにエキゾーストのO2センサーからフィードバックするが、
わずか一瞬だけはECUの演算が対応できない。
アクセルのレスポンスが悪くなり、
さらに踏み込めば少し遅れて過給が追いつき
ドッカンターボ状態。
ほんの少し遅れただけですが、
塵も積もれば山となる。
新車時に比べて
アクセルワークのリニア感が無くなるでしょう。
EGRの役割は
ガソリンとディーゼルのエンジンでは少し違います。
ディーゼルの場合は環境対策を全く無視すれば、
パワーダウンするEGRは邪魔なのですね。
それにインテークポートに煤が溜まれば、
通路が狭くなり流速が早くなって・・・問題なし??
これも間違いだと思います。
トヨタ資料引用
最新のトヨタプラドに搭載されたディーゼルエンジンは、
いかに空気をシリンダーに充填するかがキーポイント。
ストレート形状でスワール気渦などをあまり発生させずに、
ズドンと流して流入量をアップ。
水道蛇口からホースで早くバケツに水を貯める時、
ホースの先端を指で摘むでしょうか?
摘めば流速は早くなりますが、
流量は減るはず。
ディーゼルなんて空気(酸素)を吸って
ナンボのエンジンですからね。
解説を止めて作業に戻ります。
インテークマニホールドを軽くホジホジして
ある程度は煤を取り出しました。
いつもより煤の量は多く、
コーヒー缶2個以上はありそうですね。
直噴ガソリンエンジン用の整備として
弊社が開発したDSC。
ドライアイス洗浄の利点を応用し、
試行錯誤で完成しました。
ドライアイスペレットを
圧縮空気で高速噴射。
エンジンにノーダメージで
複雑な形状の吸気ポートを洗浄します。
軽く数秒ショットすれば、
ペレットが直撃した個所だけキレイに剥離しましたね。
数種類の特注DSCノズルを使い分けて、
ポートやバルブ傘部までキレイにします。
4気筒8ポートを全て洗浄しました。
インテークバルブの傘部に固着する煤も除去していますよ。
煤が固着結合する原因の一つ、ブローバイからのオイル過流入。
インタークーラーに溜まるので洗浄液で洗い流しました。
(DSCと同時にオススメしています。)
インテークマニホールドやEGRバルブ、
吸気シャッターバルブなどもDSCで洗浄します。
再使用不可部品はガスケットのみ。
今までのsky-D2.2へのDSC依頼者には、
マツダディーラーにお勤めの方も数人いました。
会話の中でアレは止めた方が良いのですけど・・・
と聞いたのが、インマニに刺さる吸気圧センサーの掃除。
センサーを外した事により、煤の結束が緩み脆くなる。
こんな煤が吸い込まれて
インテークバルブに挟まればゾッとしますよね。
無闇に吸気系の部品は外さない方が良いかと思います。
全ての部品を組み立てて、
エンジン始動・完全暖機。
各学習値をリセットして、
燃料噴射補正を再学習。
翌日納車となりました。
初代初期型CX-5なので4年経過。
もう10万キロ手前まで走行しているので、
一日の走行距離は多い方だと思います。
過去のDSC実績と
ユーザーさんの使用環境等をお聞きしていると、
5万キロ毎にDSCでリフレッシュ清掃すれば良いのでは?
と個人的には思っています。
高トルクとレスポンスが良いのが持ち味の
sky-D2.2が鈍ってくるのはモッタイナイ。
名刀でも研がずに錆びてると、
駄刀になってしまいますよね。
メーカーやディーラーさんが推奨する整備だけが、
全てではないと思いますよ。
sky-D2.2へのDSC依頼・御見積は
HP(お問い合わせフォーム)からお待ちしていますね~。
Happy Car Life!!
追記
さすがにあれだけ蓄積していれば、
変化があるだろうと思っていましたが
本日オーナーさんからお礼とレビューを頂きました。
加速と燃費がハッキリ向上したそうですよ。
(驚いたようですね。)
入庫問診では普段の使用ではあまり不具合はなく
いたって普通だと思いますとお話されていました。
まぁ走るちゃ~走るんでしょうが、
新車からジワジワ劣化してくると
体が馴染んで気が付かないのでしょうね。
オーナーさんにお伝えしたのは、
(それが本来のsky-D2.2のフィーリングです)と。
どんな機械もメンテナンス次第だと思いますよ。