LS460 エアサス異音の原因は。 車高変化に一手間を。
去年11月にATF完全圧送式交換で
来店頂いたレクサス LS460
USF40 走行距離 48000km
エンジンオイル・ATF・デフオイルまで
オールNUTECで交換させてもらいました。
いつものように納車時に作業結果の説明や、
今後の整備などについての会話の中で・・・。
『このLS 右の前から僅かにコトコトと音がしますよね?』
『ご存知ですよね~。』
と何気なく話したのですが・・・・。
『いや~全く気が付かなかったです・・・。』
とその時はそれで会話が流れていき、
納車となったのです。
数週間後に再度メール連絡があり、
『気をつけて音を観察すると、やはり右前から音がする。』
『気になるので修理をお願いしたい』
と修理依頼をいただきました。
ありがとうございます。
前回入庫時はATF交換がメインなので、
異音発生源は未確認。
試運転を繰り返し、もう一度異音を診断。
右エアサスペンションASSYからと特定しました。
リフトアップをして
サスペンション関係を観察すると、
ロアアーム・アッパーアームなどのゴムブッシュが、
ほぼ全て亀裂破損。
現状をオーナー様にお伝えし、
・エアサスペンション (左右)
・ロアアームASSY (左右)
・アッパーアームASSY(左右) を交換する事になりました。
アルミ製のナックル・タイロッドエンドなどを切り離し、
各アームASSYを外していきます。
ロングボルト化したボールジョイントを、
破損しないように作業しました。
ロアアームのブッシュは、深い亀裂が入っていますね~。
放置すればネジ切れるのも
時間の問題でしょう。
(強力に固着してそんな簡単には外れない)言われる
ナックルとロアアームの分厚い連結部を、
SST工具を駆使して外しました。 (無茶苦茶固いよ)
この作業でミスると
SSTが壊れるだけではなく、
ナックルまでダメになるので慎重に。
(並の工具なら外れないか?壊れるか?だと思います。)
右のエアサスペンションASSYは
外観からはオイル漏れが分からないのですが、
分解していくと
このようにショックオイルが流出してました。
おそらくこれが異音の原因でしょう。
デュアルアッパーアームASSYも、
ここまで分解すれば交換がしやすいですね。
ベースプレートごと外して、
アームを捻ってみると・・・。
こちらも深い亀裂がはいっていますね。
僅か5万キロでなぜここまで劣化するのか?
純正新品と比べてみますね。
対策品になりブッシュ形状が変更されていますね。
旧型はアームのしなやかさを出すため、
ブッシュゴムが2重構造に。
これでは耐久性がなくなったので、
1重構造のゴムブッシュに変更改良。
耐久性が向上するとイイですね。
全ての部品を交換し、
エアサス車高制御でエア充填。
1G締め付け後、試運転。 (異音も解消)
アライメントを測定調整し、
作業完了となりました。
LSだけに採用されているこのサスペンション形式。
今まで入庫したほとんどのLS(3万キロ以上走行)は、
アッパー・ロアともにアームブッシュが破損しています。
(ブッシュが小さい・稼動域が大きい)
逆にクラウン・IS・GS などは結構丈夫で、
見た目での亀裂は少ないです。
(ブッシュがデカイ ・ 稼動域が少ない)
上質な動きをするためにブッシュゴムを
小さく柔らかくしているのも原因なのですが、
もう一つの原因はエアサス機能にあると思います。
エアサスペンション車をローダウン化するのは、
スプリング式サスペンションに比べて簡単。
社外エアサスコントローラーを装着すれば、
サスペンションを触ることなくローダウンが可能。
車高が変われば
アームブッシュを固定しているボルトを緩め、
ブッシュのネジレを開放しないといけない。
(通称1G締め付け)
簡単なローダウン化は一手間の作業が抜けているので、
ブッシュを破損している可能性が高いのです。
中古車購入の場合は前所有者が
どんな乗り方をしていたかが分からない。
エアサスコントローラーで
安易な車高変更をしていたら、
比較的少ない走行距離で、
ブッシュが亀裂破損している事もあるのですよね。
(カタカタ・コトコト)サスペンションから音が鳴っていませんか?
それってLSの本来の姿ではないのですよ~。