大阪市からデリカD-5 CV1W リフレッシュプラン前編。ディーゼルインテークの煤除去作業。 ドライアイス洗浄のDSC!!
全国各地からの作業依頼車両が入庫していますが、今回は地元大阪からのご依頼です。
三菱デリカD-5 CV1W ディーゼル 平成26年式 走行距離12万キロ
車両全体を整備するリフレッシュプランのご依頼です。
前編 DSCの施工
中編 マルチサーブの施工
後編 その他のリフレッシュプラン整備
今回のデリカD-5は3回に分けて紹介しますね。
メールお問い合わせ時の相談内容
・車齢が10年10万キロ経過しリフレッシュプランを希望。
・ディーゼル インテークに堆積する煤を除去したい。
・エンジンマウントやサスペンションブッシュなどのゴム部品を交換したい。
・ショックアブソーバーとブレーキキャリパーは既に地元で整備済み。
メール相談時にオーナーさんが実施したい整備を教えていただけるとすごく助かります。
内容と予算をお聞きして、相談しながら整備プランを練っていきますね。
予約から入庫までの流れはこんな感じです。
・メールでのやり取りをしながら、希望整備や予約入庫日の決定。
・入庫1か月前に予約前金を振り込んでいただいて、ある程度の部品を先行発注します。
・予約日に入庫。 問診をして詳しく整備内容を説明します。
・試運転をして事前ホイールアライメント測定し、リフトアップして車両点検。
・希望される整備、弊社が推奨する整備、整備予算 これらを考慮しながら整備プランのお見積もりを作成し提案。
・どこまで整備するかを相談して、OKがもらえたら作業がスタートします。
車種は違いますがリフレッシュプラン予約から納車までの流れをブログにまとめました。
宜しければ覗いてみてください。
http://minato-motors.com/blog/?p=31370
前編ブログではDSCから紹介しますね。
オーナーさんがぜひ実施してほしい整備はディーゼルエンジンのインテークに堆積する煤除去作業。
まだまだ長く愛車を使用したいので、10年目の今回の整備でその辺りをリセットしたいと相談されました。
デリカD-5ディーゼルのインテークに堆積する煤を除去するには、インテークマニホールドを外す必要があります。 そうするとエンジンヘッドのインテークポートが確認でき、除去作業も可能になる。
ただD-5 CV1WのエンジンはマツダのSKY-DやハイエースのKD系ディーゼルエンジンのように簡単には分解できない構造。 (作業スペースが狭いから)
いろいろ分解するには時間が掛かるので、必然的に料金が高額になる。
相談はあってもなかなか実施出来ない状態が続いていました。
今回のオーナーさんは(煤除去を最優先に)整備してほしいと依頼されましたので、初めてこのエンジンでDSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)を施工する事にチャレンジしました。
ご存じデリカD-5のエンジンルームは激狭。
ボンネットを開けてもエンジン半分しか見えません。
フロントグリルを外してフロントバンパーも外す。
ラジエター・ファンシュラウド・コンデンサーなども外す。
そうすれば作業スペースが出来るので、インテークマニホールド・吸気シャッターバルブ・水冷EGRクーラーなどを分解出来ます。
ACコンデンサーを外すので、エアコン冷媒ガスを回収します。
規定充填量は780gで回収量は530g。
約250gほど減っていたようです。
最後にカーエアコンリフレッシュαでリチャージしますね。
(後編ブログでリチャージ作業を紹介します。)
インテークマニホールドを外すとその奥にある水冷EGRクーラーを分解。
ボンネットを掛けた状態では見る事も出来ないEGRクーラーも、ここまで分解すれば外す事が出来ます。
独特な形状をしているインテークマニホールド内部に堆積している煤をホジホジ。
こぶし大ぐらいの煤が堆積していました。
これでは吸気の流れが悪くなり、燃焼効率が落ちるのでトルクが薄くなりますね。
EGRバルブには煤堆積は無いようです。
これならドライアイス洗浄で簡単にキレイになるでしょう。
水冷EGRクーラーはこんな感じ。
こちらは超音波洗浄機と特殊ケミカルでキレイにしていきます。
これでやっとインテークポートを確認。
煤の堆積が酷く、インテークポートの内径が狭くなっていますね。
見えにくいですが最深部にあるインテークバルブ傘部には大量の煤が堆積しています。
こうなるとどうなるか??
インテークポートなどの吸気経路が狭くなると吸気流速は早くなるのですが、燃焼室に流入する流量は減ります。 (ボトルネック)
河川でもそうですが川の流れにボトルネックで狭くすると、ボトルネックの部分だけ流れが速くなりますよね。 そしてボトルネック部下流では流れが遅くなる。
重要なのは流速ではなく、流量です。
下流にある燃焼室に空気が多く充填されないと、本来の性能は発揮出来ないのです。
上記画像は最新トヨタディーゼルの資料ですが、以前までは流速を早めて旋回渦の形成に重点を置いていましたが、それよりも高効率に抵抗なく空気を燃焼室に充填した方がエンジンパフォーマンスが向上するそうです。
・余計な場所で煤が堆積し、流動吸気の効率が落ちる。
・加速不良やトルク低下、最悪の場合は白煙・黒煙発生。
・燃焼効率悪化は煤も多く発生させ、煤がトラブルを多岐に招く。
・いずれ下流にあるDPF等も詰まる。
『ディーゼルエンジンは空気を吸ってナンボのエンジン。』
エンジン吸気上流から空気を吸って燃料を燃焼させ、排気ガスが下流に流れる。
クリーンディーゼルの不具合は多岐に渡りますが、まずは上流から整備しないと原因が分からないですよ~と弊社ではアナウンスしています。
試しに手作業でホジホジしてみました。
(圧縮上死点にセットし、インテークバルブは全閉)
ベタベタした大量の煤でキリが無いですね。
手作業で完全除去するのは困難でしょう。
弊社が9年前に開発したDSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)http://minato-motors.com/dsc/
・マツダ スカイアクティブD
・トヨタ KD系ディーゼルエンジン
・トヨタレクサス GR系ガソリン直噴
・マツダ、日産 ガソリン直噴
累積施工台数は軽く千台以上。
ドライアイス洗浄を用いてデリケートなインテークポート内の煤を除去洗浄しています。
その応用で三菱デリカD-5の4N14ターボも対応しました。
ドライアイス洗浄を自動車エンジン整備に活用したのは弊社が世界初。
ドライアイス洗浄を導入しDSCをリリースした9年前は自動車整備業界でも話題になり、テレビや雑誌の取材依頼が多かったです。 (忙しすぎたのでもちろん全部断りましたけど・・・)
ドライアイス洗浄とは
・-78℃のドライアイスペレットを圧縮空気で高速噴射。
・熱収縮と昇華爆発力で付着物を母材から剥離。
柔らかいドライアイス粒ではアルミ金属はノーダメージ。
短時間で煤を除去する事が出来るのがドライアイス洗浄のメリット。
それを短時間で確実に行うにはDSC専用ノズルとアダプターが必要。
デリカD-5用のノズルは未製作なので他の数種類あるノズルとアダプターを組み替えてドライアイスショットを行いました。
(近日中に専用ノズルを製作予定。)
テストで軽くワンショットすると、ドライアイスが直撃した箇所だけキレイに剥離しましたね。
全てがキレイになるようにドライアイス洗浄を繰り返します。
4気筒8ポート全て洗浄完了。
クランクを回しながら圧縮上死点に合わせて、1気筒づつ作業をしました。
これで空気の流れが良くなったのは一目瞭然。
インテークマニホールドや吸気シャッターバルブ。
水冷EGRクーラー・EGRバルブ。
これらもキレイに洗浄しました。
無駄な部品交換は必要なく、洗浄で再生。
ガスケットとゴムホースは新品に交換します。
インテーク部品を組み立て、LLCを補充し暖機。
各学習値初期化・再学習を実施。
ここまでがデリカD-5 CV1WのDSC作業内容です。
以下は同時に実施したらどうですか??というオプション整備を紹介します。
デリカD-5 4N14エンジンのDSCでは、お伝えしたようにラジエターを外します。
このラジエターはガソリン・ディーゼル共に同じような形状で、コンデンサー取付部が熱劣化で割れやすい。(LLC漏れになるウィークポイント)
車齢10年目でリフレッシュを希望されましたので、予防整備で新品ラジエターに交換します。 またラジエターホース類も交換しました。
DSCと同時ならラジエター交換工賃はほとんど掛からないので、DSC時のラジエター交換はおススメですよ~。
LLCも圧送式交換を提案しました。
通常は排出したLLCを補充するだけですが、弊社ではLLC圧送式交換をオススメしています。
ラジエターホースにラジエターリフレッシャーをバイパス接続。
LLCを冷却ラインに脈動圧送し、エンジン・ヒーター・ラジエターを循環させて戻ってきます。
戻ってきたLLCを高密度ダブルフィルターでろ過再生。
再循環させながらLLCをキレイにしていきます。
エンジン始動させながら完全暖機まで30分ほど作動させて、冷却ライン内の浮遊物をろ過していきます。
ろ過再生出来れば、劣化しているLLC添加剤を補強。
LLC再生強化剤を注入し、防錆消泡性能を強化してスーパーLLC同等に回復させます。
この後に燃料噴射再学習や各学習値のリセット初期化を行いますが、それは次回ブログで行うマルチサーブと一緒に紹介しますね。
デリカD-5 のDSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)の紹介はここまで。リフレッシュプランは次回ブログに続きます!!
それではHAPPY CAR LIFE!!