再発しないエンスト。 コスト と 効果 と 見込み修理。
いつもお車をお世話させて頂いている
年配の方からの依頼です。
H11年 スバル サンバートラック TT1
走行中にエンストするそうで
入庫して頂きました。
オーナー様(おじいちゃん) 『こんな時に、こんな感じで、エンジンが止まるんやぁ~』
私 『ハイハイ~、わかりました~。 お預かりしますね~』
そんなやり取りから問診もソコソコに
早速試運転してみますね。
(ポイントを抑えた問診はしますけどね~。)
症状を再現する為に
アクセルの踏み方や走行条件などを変えながら
いつものテストコースを走ります。
そこで2度ほどエンストしましたので
工場に戻ります。
スキャンツール『G-SCAN』を接続し
ダイアグコード と ライブデータを確認します。
ダイアグコードは54番
吸気系統の異常コードがありました。
なんともアバウトなダイアグコードで
『エア吸い込み等の不具合がある』 と記録されたようです。
アイドリング中にパーツクリーナーを
吸気関係に吹きかけてリークテスト。
破れや吸い込み等があれば
回転数が上昇するのですが
特に変化は無し。
その後、試運転しても
アイドリング状態でも
全くエンストする事無く
いたって快調なサンバートラック。
過去の整備記録からISCVは清掃済み。
エンスト時や走行中の不具合から
圧力センサー と カム角センサーを重点的に見ていきます。
ちなみにアイドリング時に
両センサーのカプラーを外すと
ともにエンストしますが
圧力センサー (圧力系異常)
カム角センサー (コード出力無し)
とダイアグコードに記録され、
吸気系とは違うようですね。
圧力センサーをオシロスコープで
電圧波形を確認します。
アクセルを踏めばリニアに反応し
電圧も正常値に収まっています。
ドライヤーで暖めたり
冷間状態から再確認しましたが
全く問題なく動いています。
センサー系のタマに壊れる故障は
症状は再発してくれないと良否判定が出来ません。
いっその事、完全に壊れてくれた方が
ハッキリ分かるのですが・・・。
試運転とアイドリング時での
症状再発待ちを数日繰り返し。
少し困ってしまいましたね~。
オーナー様に事情を説明して
見込み修理になりますが
両センサーの部品代も安価なので
二つとも交換する事にしました。
圧力センサーが主犯だと思いますが
カム角センサーも安価なので
ついでに交換しておきます。
圧力センサーで今回のエンストは直ったが
数ヵ月後にカム角センサー不良でエンストした場合、
『また、エンストした。』 となりますから。
これも予防整備になるでしょう。
整備士的に見込み修理を
出来るだけしたくないのですが
症状再現が無い場合、まぁ~仕方がないかと思ってます。
ただしその場合でも基本的な点検の実施はもちろんですが
ソレに掛かる診断費用 や 怪しい部品の費用などを考慮して
一番ベターな方法を提案するのも整備士の役割かと。
極端な話、1千円のセンサーの良否判定に、
数万円の診断料を掛けるのはダメだと思います。 (コスト意識の欠如かな。)
ただ整備士的には
『この不具合の犯人はお前だ~』と
徹底的に向き合いたい気持ちもあるんですけどね~。