車両制御履歴?? バイ・ワイヤ・システムなら必要なんでしょうね。
仕事の合間にチョット時間が
空く時ってありますよね。
私の場合、ここ数年の空いた時間には
メーカーの整備マニュアルを閲覧するようにしています。
『メーカー純正の自動車整備マニュアル』
部品の交換の仕方や再設定の方法
分解時の締め付けトルク数値やオイル量など
作業する上で必要な情報がメーカーから発信されています。
昔であれば冊子になっており
メーカー、車種毎に発行されていたので
民間工場には縁遠い存在でした。 (そんなに何冊も買えませんしね。)
ですが今では紙媒体が電子化(PDF化)に。
もしくは最初から電子マニュアルとして
閲覧可能になっているのですよ。
もちろん有料ですけどね。
『修理書』は普段の業務で閲覧するのは
(交換方法や各整備数値など)
整備士ならば見る機会は多いのではないでしょうか。
ネット上でも一部アップされている事があるので
一般の方も見た事もあると思います。
実は私がメインで見ているのは
その横にある『解説書』の方なんですよね~。
解説書には書かれている内容は
搭載された新しい技術の紹介
コンピューター制御システムの概要 などなど。
(こんな感じに機能&制御を変更しました。 )
(こんな時はこんな風にアレとコレが動いていますよ~。 )
という内容がギッシリ書かれているのです。
小難しい記載内容の中には
自動車整備の中でも特に難しい(経験が要る)
『 故障診断 』 のヒントが散りばめられているので
暇があれば閲覧するようにしています。
先日いつものように
トヨタ新型車の整備書と解説書を見ていると
少し見慣れない項目がありました。
『 車両制御履歴 』
少し前にはこんな項目はなかったような?
読み進んでいくとこんな内容。
自動車が ある特定の動き をすると
その時点の前後の車両制御データ(レコードデータ)を
ROMに記憶しますよ~。
と書かれています。
またキーONからの経過時間や
ナビからの時間情報も同時に記憶し保存。
記憶されたROMを交換しない限り
データ消去も出来ないそうです。 (スキャンツールでも不可。)
※注意※
(レコードデータ)はダイアグコードが記憶された時の
フリーズフレームデータの事ではないですよ~。
特定の車両挙動(トリガー)をすると
その前後にどのような動きの車両状態か?を
データ記録しているので
飛行機事故のニュースで良く耳にする
ブラックボックスみたいな物なんでしょう。
『徐行走行している時に
いきなりアクセルペダルを全開に踏んだ』
『バックする為にリバースシフトして
半分以上アクセルを踏み込む』
普通はこんな無茶な運転はしないですよね~。 危ない 危ない。
そしてもっと読み込むと
ABS、TRC作動時や
急旋回、急ブレーキ時にも
トリガー検出しデータ記録されるようです。
私たち整備士は
故障が有ればお客様から問診し
時にはダイアグコード(エラーコード)を確認します。
エラーコードが有れば
それを参考に故障診断をする。 (フリーズフレームデータも参考にします。) (エラーコードが故障箇所とは限りません。)
無ければ症状から
不具合部分を想像し探求する。 (B)
(エラーコードが出ない機械的故障など)
そこで新たに車両制御履歴から
各センサーなどの数値データを読み取り
挙動状態を推測するという新しい機能が追加されたようです。 (A)
故障診断でのヒントとなり
整備士的には助かる機能だと思います。
チョットした故障では使えないですが
凄い変な動きの故障には役に立つかもしれないですね。
ですがこれには もう一つの役割 もあるのでしょうね。
勘の鋭い方はピンと来たと思います。
ココからは私個人の勝手な想像ですが
数年前に起こった
『アメリカトヨタ車のブレーキ制御問題』での
運転者の証言と制御履歴の食い違い。
(アクセルを踏んで無いのに、加速した。)
(ブレーキしか踏んでないのに車が発進した。)
(リバースシフトしてもバックしない。)
この車は欠陥じゃないのか?とのクレームに
その時の操作記録が 見れるようになったんですね。
バイ・ワイヤ・システムの多様化で
今ではハンドル操作にも採用され
アナログな機械操作では残らなかった記録が
全て記録保存されるようです。
もっと以前からこれらのデータ内容は
メーカーの専門部署なら解読できていたでしょうが
ディーラーや民間整備工場の
現場レベルで見れる(公開する)ようになったのは
ちょっと驚きましたね。
前向きで良い使われ方をされればと思います。