アナログ整備とデジタル整備。 十数年後の油汚れ。
自動車の多重通信システム化 (部品や各センサーの通信ネットワーク)
のスピードは、一般の方が想像されている以上に進んでいます。
専門的に言えば CAN通信システム。
最新のハイブリッド車や超低燃費車両などは
コンピューター(ECU)が大量に搭載されて
各部品を制御し、きめ細かく高速に信号をデータ通信。
アナログからデジタルに
自動車整備技術も変わりつつある今日この頃です。
三菱 ミニキャブバン H16年式
『 ウインカーが点かない 』 と修理を依頼されました。
調べていくとウインカーランプが左右両方とも点灯せず
壊れているようです。
ヘッドランプやハザードランプは問題なく作動し、
メーター内の指示灯もOK。
球切れではなさそうですね。
ウインカー&ワイパーレバーから調べてみると
スモールランプ
テールランプ
ワイパー&ウォッシャー
も動かない事に気が付きました。
サーキットテスターとオシロスコープを使い調べてみると、
レバー操作では指示信号を発信はOK。
ミニキャブの定番故障部品の
ETACS-ECU が怪しいですね。
ETACS-ECUとは
ボディ系統制御コンピューターで良く壊れます。 ていうか壊れすぎ。
内部の部品一つ交換のお値段ではなく、
ECU-Assyでの全交換なので部品代も安くはないんですよね~。
今回は過去の事例も多数あり、部品交換をして作業完了しましたが
軽トラ&バンなどのボディ系統までECU化するの? と思います。
(まぁ生産効率から軽バンだけしない訳にはいかないのでしょう。 部品共用化をしてますしね。)
気になるので ミニキャブの
整備マニュアルと電気配線図を 少し観察。
エンジンやATミッションはもちろんですが
ABS、エアバック、コラムスイッチにパワーウインドウ。
ラジエターファンにも専用のECUがありました。
すべて合わせると10個ほどのECUが使用され
この車両を動かしているようですね。
トヨタ最新のクラウンやプリウス辺りだと
ECUの数も多く、20個以上は有りそうです。
(機会があれば数えてみようかな~。)
車体にあるECUがネットワークで繋がり
お互いを監視し、信号をやり取りしています。
そうなるとエンジンの始動不良の原因が
ドアにあるECU不良で起きる可能性もあるのですよ~。
これからの自動車故障診断は
電気配線図や解説書などを睨みながら
スキャンツールとテスターなどを駆使し
地味な作業に追われるでしょう。
(作業スペースも狭いので、スリムな人は重宝されると思いますよ~。)
何十年後の自動車整備士は
油の付いたツナギ服ではなく
白衣を着ているかもしれませんね~。