トヨタ・レクサスガソリン直噴エンジン。 ドライアイス洗浄でDSC。 吸気系の煤蓄積を完全除去しています。
本日もミナト自動車ブログ 日々是好日に、
お越しいただきありがとうございます
先日の3連休は関東から来店する方が多かったですね~。
・トヨタクラウン DSC 福島県
・マツダCX-5 ATF完全圧送式交換 千葉県
・トヨタクラウンHV CVTF交換&DSC 千葉県
遠方からのご依頼ありがとうございます。
ご自身でネットを使いイロイロ各ショップの情報を集めて、
作業実績や整備レベルを検討して依頼をいただけたようですね。
ATF交換やDSCで日本全国からお越しいただいていますが、
私の記憶が確かならまだ来店歴が無い都道府県は、
(鹿児島県)(沖縄県)のみかな???
ぜひお待ちしています~。
今回作業内容をご紹介するのは、
福島県からお越しのクラウン GRS200
DSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)
のご依頼です。
トヨタであればクラウンやマークXに
搭載されている4GR-FSE or 3GR-FSEエンジン。
レクサスならIS・GSにも搭載されている
V6ガソリン直噴エンジンになります。
ガソリン直噴エンジンはこのエンジンに限らず、
どうしても燃焼時に煤が発生します。
この煤がEGRによりインテークバルブと
インテークポートに蓄積し、
エンジン性能が徐々に劣化・鈍化していきます。
従来型の燃料ポート噴射式では
吸気ポートに燃料を吹きかけますので、
(煤を洗い流す)効果があり、バルブ等に蓄積しづらい。
ですが燃焼室にインジェクターを搭載している直噴式は、
(煤を洗い流す)機会がそもそも無いので蓄積しやすい。
また吸気上流からブローバイオイルが混入してくるので、
煤とオイルが燃焼熱で焼き付きます。
そうなるとサラサラの煤は固着し、
徐々に固い塊になるのです。
スロットルボディと樹脂製サージタンクを外して、
スワールコントロールバルブが見えました。
付着しているオイルはブローバイオイルです。
外して裏側を確認すると、
ここにも煤が逆流し付着していますね。
スワールCバルブで6個の吸気通路が、
12個の吸気経路に分かれます。
そしてこのバルブの開閉で燃焼室に入る、
スワール渦(横気流渦)を制御しています。
その先は12個に分かれた吸気ポートが見えますね。
細く深い穴の最深部にある吸気バルブを確認します。
バルブの傘部に分厚く煤が蓄積しているのもあれば、
シャフト部にカマキリの卵みたいな蓄積もある。
丸い筒状のポート内径にもビッシリ煤が蓄積しているので、
手作業での完全除去はほぼ絶望的かな・・・。
中途半端に作業して煤塊がバルブに挟まると、
怖いですからね~。
DSC(ドライアイスショットカーボンクリーニング)
は弊社がオリジナルで開発した唯一無二の特殊整備。
ドライアイス洗浄機を用いて煤を除去します。
ただそれだけでは完全除去は難しく、
また短時間での作業完了も無理でしょう。
弊社が制作した数種類のDSC専用ノズル。
形状や用途に合わせた専用ノズルアダプター。
これらを組み合わせてDSC作業をしています。
ドライアイス洗浄機に投入するのは、
ドライアイスペレット(粒)。
これを圧縮空気で高速噴射し、
バルブに付着した煤を剥離させます。
高圧で大容量の圧縮空気を長時間使用し続けるので、
おそらくディーラーさんレベルの工場では出来ないでしょう。
DSC以外の作業が出来ないほどエアを消費するので、
他の作業員はエア工具が使えなくなるのです。
ドライアイスの粒を噴射しているだけなら、
サンドブラストと変わらないのでは??と思うでしょう。
ドライアイスの温度は-79℃と非常に低温。
試しにサンドブラスターへドライアイスペレットを投入すると、
数分でガンからホースまで全てが凍結するでしょう。
またゴムのホース類もカッチカチに凍結して、
パキッ割れるでしょうね。非常に危険。
聞くところによると超低温下で柔軟性が低下せず、
長期に使えるゴムホースは想像以上に高額らしいです。
またドライアイス洗浄機の内部部品も、
一部はカーボンを使用しているそうですよ。
固いブラスト剤を噴射して、
硬さを利用した研磨力で付着物を削っているのが、
サンドブラストなどのブラスト機器。
またブラスト剤の残留や飛散の後処理も大変です。
ですがドライアイスペレットは、
指で潰せるほど柔らかいメディアを噴射。
(金属が傷付けるほどの固さはありません。)
-78℃のドライアイスペレットを高速噴射し、
昇華爆発力と熱収縮で異物を剥離。
ドライアイスの特性を利用した、
次世代洗浄方法です。
ドライアイスは放置すれば昇華して大気に消えるので、
ポート内にメディアが残留する可能性はゼロ。
もともと精密機械等を洗浄するために生まれた洗浄機ですが、
今思えばDSCの為に生み出されたのでは??とも思っています。
エンジンの金属やゴムシールにも、
ノーダメージで洗浄が出来る優れた洗浄機。
完全防備のマスキングをして、
軽く数秒ワンショットしてみますね~。
ペレットが直撃した箇所だけキレイに剥離しましたね。
(エンジンにノーダメージで短時間で完璧に)
DSCキャッチコピー通りに洗浄作業を進めます。
燃焼室に煤やペレットが侵入しないように、
圧縮上死点にセットして作業をしています。
全6気筒12ポートを全て洗浄作業が完了しました。
直径4cm 深さ15cmの吸気ポートも、
手前から奥まで全て洗浄していますよ。
スワールCバルブもDSCでキレイになりましたね。
サージタンクの煤は固着ではなく付着なので、
パーツクリーナーで洗い流します。
外した部品を組み立てて、ガスケット類も交換し、
スロットルボディも同時に清掃しますね。
学習値を初期化して再学習し、
試運転をして納車となります。
ガソリンが気化し燃料と混ざりきった混合気に
点火すれば良いのですが・・・。
燃料噴射から点火燃焼までの時間が、
極めて短いのが直噴の特徴。
その条件でも燃焼可能にするのが、
燃焼室での吸気流コントロール。
スワール・タンブルの吸気渦を使い分けて、
理想的な混合気に点火するのが直噴のキーポイント。
それが煤蓄積でバルブ形状が変わるほど変形すれば、
設計時に吸気渦は形成しづらいと思いますよ。
DSC作業は完全非公開になっていますので、
ブログで公開出来るのはここまで。
企業秘密の部分が多すぎるので、
ご理解の程宜しくお願い致します。
トヨタ直噴GRエンジンに対してのDSC作業は、
朝9時半入庫の夕方納車になっています。
基本的には日帰り作業で完了しますが、
代車をお貸ししての1泊預かりも対応可能です。
DSCの御見積・ご予約は
HP(お問い合わせフォーム)からお待ちしていますね。
どうぞ宜しくお願い致します。