ハイラックスサーフ TRN215 リフレッシュプラン 前半の部。 サスペンション・ブッシュ・ベアリング 足回り/下回りをリフレッシュ整備。
ある程度の年式・走行距離を使用した愛車を、
予算に合わせた整備プランを提案するのが
弊社がオススメする提案型整備(リフレッシュプラン)
ある程度使用した車両へは個別にバラバラに、
闇雲に整備を実施しても無駄が多い。
入庫問診時にいろんなユーザーさんとお話ししますが、
『以前地元でココとココを交換しました』と教えてもらい、
(でしたら横にあるこの部分も同時に交換しましたか?)
(右が悪ければ、左側も交換されましたか?)
(その部品の奥にあるこの部品も交換しましたか?)
と私がお聞きすると・・・。
『恐らく悪い部品しか交換していないと思います。』
『特に提案も無かったので、言われた通りに交換しました。』
と言われる方が多いですね。
自動車の性能は一部の部品交換や調整などで、
改善する時もあるでしょう。
ですが右がダメなら、いずれ左側も同じだけ使用しているので、
交換時期が訪れるでしょう。
またはサスペンションを整備すると、
漏れなくホイールアライメント調整が必要になるので、
同時に関連する整備個所も追加で整備した方が
無駄な重複工賃は省けるのです。
しかし10年10万キロ以上走行した車両を、
新車時に近いコンディションに戻すなら、
相応の整備費用は掛かります。
(決して安価ではないでしょう。)
(あと数年持てば良いや!!)という車両向けではなく、
(まだまだ愛着があり良いコンディションで乗りたい)という
ユーザーさん向けの整備をブログでご紹介しています。
京都市からお越しいただいたのは、
トヨタ ハイラックスサーフ TRN215
走行距離10万キロ ガソリン車
リフレッシュプランのご依頼です。
予約入庫日をメールで打ち合わせし、
来店してもらいました。
お聞きした車両の不満点や希望作業。
・普段は整備しない箇所を中心に予防整備を希望。
(新車時に近いコンディションに戻して使用したい。)
・サスペンションなどの足回りや下回りは重点的に。
・信号待ち時などのエンジン微振動が気になる。
・段差などを越えた時のボディ軋み音が気になる。
・高速走行時に唸り音が大きくなってきた。
(90km/hぐらいからの速度域で)
その他いろいろ気になる点や不具合・不満個所を、
問診して詳細な状態も深く質問します。
その時に今回の整備の方向性や不具合改善点を説明し、
車両をお預かりしています。
まずは試運転をして現状をチェック。
微振動や軋み音・唸り音は運転者だけではなく、
同乗者にもハッキリ分かるほどの大きさでした。
おそらく何かが悪いのですが、
ユーザーさんは年式と走行距離から半分諦めていたようです。
(こんな物なのかな??と)
排気ガスを測定しエンジン燃焼状態を確認。
十分良好ですがHCがやや出ていますね。
事前ホイールアライメントを測定して、
現在の数値を確認します。
数値的にはやや乱れ程度ですが
乗り心地はあまり良くないのが第一印象でした。
リフトアップしタイヤを外して各部点検。
・バッテリー・オルタネーターの充電・発電状態は良好。
・下回りを見てもオイル漏れはほぼ無い。
しかし詳細に点検をしてこれから10万キロ良い状態で
安全に快適に使用出来るように整備プランを制作しました。
整備見積を提案してOKがいただけたので作業を始めますね。
まずは高速走行時での唸り音。
オイルの色や劣化度、異音の発生源から、
リアデフが怪しい。
リアデフを外してリビルト工場に
分解整備を外注依頼しました。
在庫のリビルト品と交換ではなく、現物リビルト。
(現物をチェックして不良個所を整備する流れです。)
それまでの間に他の整備作業を進めますね。
左右のRアクスルシャフトを外しましたので、
ハブのベアリングやオイルシールも交換します。
長いシャフトの根元にあるB/Gを
SSTと油圧プレスで抜き取ります。
リアのシャフトを抜かないと、デフが外れない。
(同時にすると重複分の工賃は省かれますよね。)
新しいベアリングを圧入して、
シャフトオイルシールも打替えしました。
数日後にリビルト工場から帰ってきたリアデフ。
結果的にはベアリング不良が原因で、
シールとB/Gを全数交換してもらいました。
また内部も洗浄し再塗装済みでの納品です。
(一定期間のリビルト保証も付いています。)
リアアクスルの中も洗浄して、
シャフトと一緒に組立します。
リアショックアブソーバーと
スタビライザーのブッシュ交換。
次はフロント側のブレーキ、ハブナックル、
ショックアブソーバー等を分解します。
今回のショックアブソーバーは純正品をチョイス。
マウントやブッシュなども交換します。
外したアブソーバーは少しオイル漏れがありましたね。
ナックルのオイルシール交換。
やはりクロカン系はベアリングへの防塵・防水性は、
乗用車に比べて全然違いますね。
ベアリングやナックルにもIN・OUTにシールがあるので、
少々の冠水路でもクロカン系は走行出来るのでしょう。
逆に台風時の冠水路を走行している乗用車等、
あれは出来るだけ止めた方が良いですよ。
ベアリングのシール性能が低い乗用車、軽自動車なら、
水が混入してB/G寿命が縮みますからね。
前後ブレーキキャリパーをO/H。
・フロント対向4ポッド
・リア浮遊式シングルポッド
キャリパーからピストンを抜いて、
完全洗浄しましたよ~。
それでもピストンには汚れが付着しています。
このままではピストンシールに引っ掛かり、
スムーズな動きが出来なくなりますよね。
洗浄・脱脂しても取れない汚れは、
超微粒コンパウンドで磨き上げれば、
ピカピカになり再利用は可能です。
専用グリスを塗りながらシールやブーツと一緒に、
ピストンを組付けますね。
キャリパーのホルダー側もリフレッシュ。
ホール内の古いグリスを洗い流します。
スライドピンを清掃して
グリスアップとダストブーツ交換。
前後ブレーキパッドも残量が少ないので交換します。
WAKO’S ブレーキパッドグリス BPR
シムとパッドの間に薄く塗りました。
防振・防錆・防水&高耐久性を確保する
高性能パッドグリスを使用しています。
ディスクローターは研磨で再生しますね。
ローター研磨機にセットして、
出来るだけ薄く少ない回数で削ります。
歪みも無く数回で均一になりました。
耐熱塗装で化粧直ししますね。
少し前に地元で整備したドライブシャフトインナーブーツ。
『割れブーツ』で処置していますが、
もう合わせ目からグリスが漏れてきてますね。
Frデフからシャフトを引き抜きたいのですが、
異様に固く抜けないので作戦変更。
インナー側は残して、別々に整備します。
反対側も合わせ目の処置が甘いので、
少し隙間が開いていました。
トロトロに劣化したアウター側のグリス。
バターぐらいのグリス粘度が、
飲むヨーグルトぐらいに柔らかく油膜劣化すれば、
グリスの寿命は終わりでしょう。
耐久性の高い純正グリス・ブーツKITで交換しますね。
そうすれば10年10万キロはノーメンテでOK。
カシメ式のブーツバンドを
SSTでカシメ締め付け完了。
インナー側は車上で洗浄して、
新しいグリスを注入して組付けます。
アッパーアームとロアアームはASSYで交換します。
ブッシュの部品供給があるのですが、
何故か劣化しやすいボールジョイント部は供給無し。
部品さえ出してくれたら組み替えるのに、
仕方がないのでASSY交換になりました。
アーム組付け時にはカムボルトのシャフト部に、
薄くグリスを塗り込みます。
こうすると隙間から水が混入しずらいですし、
シャフト部の錆でブッシュ固着もしないでしょう。
フロントスタビのブッシュも交換して、
リンクロッドもブーツ破れで交換しました。
またガタが出やすいステアリング ラックエンドも、
予防整備で交換します。
こんな感じで進行したハイラックスサーフの
リフレッシュプラン。
やっとここまでで前半終了。
この後にはホイールアライメント調整も、
エンジン整備やATF交換も行います。
紹介する作業量が多いので、
今回のブログではここまで。
次回ブログで後半の作業を紹介しますね。
それではHAPPY CAR LIFE!!