マツダ スカイアクティブ ディーゼルの煤除去作業。 DPFの交換or洗浄とDSC どちらが先にした方が良いですか??
福岡県からお越しいただいたのは、
マツダ アクセラ BM2FS
走行距離96000km
SKY-2.2Dに蓄積する煤除去作業。
DSC(ドライアイス・ショット・カーボンクリーニング)
のご依頼です。
http://minato-motors.com/blog/?cat=192
お問い合わせフォームからご相談いただきました。
・最近のDPF再生距離が90km前後になり、リコール入庫の時にディーラーさんに相談。
・しかしディーラーさんでも原因が分からず、状況次第ではDPFの交換も可能性ありと伝えられる。(結構高額!!)
このような場合はDSCをした方が良いのか?
それともDPF交換orDPF洗浄を先に実施した方が良いのか?
こんな感じでDSCの御見積と一緒にご相談されました。
このような問い合わせは珍しくないので、
以下のように返答させていただきました。
・DPF強制燃焼しライブデータのセンサー数値を要確認。
ビフォーアフターの数値変化で良否判定は出来るはず。
(アドバイス後にディーラーにて確認したそうですが(良好)と判定される。)
・このSKY-D搭載車で走行距離20万キロ未満なら、
DPFの交換などよりもDSC実施を断然先に推奨します。
いくら新品のDPFに交換しても、
燃焼状態が悪ければ当然煤は多く発生する。
(再生距離は短いままになるでしょう。)
(根拠のない、不確定な、未確認な)整備をする前に、
根拠のある整備(DSC)を先にに行う方が良いのでは?と
お伝えしました。
DPFの交換や洗浄は、整備予算があるのなら否定はしません。
決して無駄な作業ではないでしょう。
特に20万~100万キロ走行するトラックや、
ストップ&ゴーの多い業務車両には有効だと思います。
ですが20万キロ未満の乗用車でDPFが詰まるなら、
それはDPFが悪いのではなく他に問題があるのでは?
(DPFの再生距離が短い)=(DPFが詰まっている)は、
あまりにも短絡的な診断だと思うのです。
そして予約日に来店していただきました。
作業前問診をすると、(実は予約入庫まで日数があったので、
DPFを洗浄する業者にDPF洗浄を依頼してみました。)
(でもほとんど再生距離に変化がなく、
ミナト自動車さんの言う通りでした。)
そんな訳で入庫までのエピソードから、
実際のDSC作業を紹介していきますね。
いつものように試運転後、
インテーク系の部品を分解していきます。
日本全国どのマツダ整備士さんより、
SKY-2.2Dのインマニ脱着だけは
多く実施しているような気がします。
慣れた手付きでサクサク部品を分解し、
シリンダヘッド側のインテークポートを確認します。
ポートの内径が煤蓄積で狭くなり、
カメラのピントが合いにくい。
奥にあるインテークバルブは辛うじて撮影出来ましたが、
なかなかの煤蓄積具合ですね。
外したインテークマニホールド側も確認します。
吸気シャッターバルブをパカッと開けてみると・・・。
バルブ周辺に煤が固着していますね。
インテークマニホールドの入り口を見ると、
吸気経路が半分以上は狭くなっていました。
インテークマニホールドの出口にある、
8つの穴も確認しましょう。
こちらも半分ぐらいの大きさしか、
吸気経路が確保されていません。
この状態のインマニをドライアイス洗浄で吹き飛ばすと、
工場中が(煤まみれ)になるので、
軽くホジホジして中の煤を掻き出しました。
するとお茶碗1杯分(大盛)ぐらいの煤が出てきましたね。
ある程度煤を掻き出した後は、
DSCでキレイに洗浄します。
E/Gヘッド側はホジホジせずに、
いきなりDSCでキレイにしますね。
マスキングをして完全防備。
(ちなみに下の画像はマスキング途中の画像です。)
(完全マスキング状態は企業秘密!!)
ドライアイスペレットを圧縮空気で高速噴射。
(熱収縮と昇華爆発力)
ドライアイスの特性を利用して、
複雑な形状のポートやバルブを洗浄していきますね。
(エンジンにノーダメージで完璧に短時間に)
DSCキャッチコピー通りにキレイにします。
クランクを回して圧縮上死点にセットし、
1気筒ずつ作業します。
ドライアイス洗浄機にDSC専用ノズルとアダプターを装着。
まずは軽くワンショットしてみました。
結構分厚く蓄積していますね。
燃焼熱とブローバイオイルで
カッチカチにコッテリ固着していました。
数種類ある自社制作のノズルやアダプターを使い分けて、
インテークバルブやポート内を洗浄しました。
インテークバルブシャフトの裏や
バルブ傘部に固着した煤も完璧に除去完了。
特にバルブ傘部には大量の煤が固着しているので、
慎重に作業をして全除去しています。
1気筒作業してはクランクを回して、
次のポートに移動。
4気筒8ポートをキレイにしました。
・インテークマニホールド
・吸気シャッターバルブ
・EGRバルブ x2
・EGRバイパスパイプ
こちらもドライアイス洗浄でキレイに除去完了。
手作業でココまでキレイにするのは、
ほぼ無理でしょう。
電子制御バルブにケミカル系の洗浄剤はNGです。
(バルブ&ECUの故障原因になるので要注意)
ビフォーアフターを比べてみると、
その違いは一目瞭然。
新品ガスケットを使用して、
元の状態に組み立てます。
DSCのオプション整備
(インタークーラー洗浄)も行いました。
ブローバイオイル溜まりはターボ車の宿命でしょう。
インタークーラーにオイルが溜まるのですが、
これが吸い込まれて煤と合流し固着するのです。
作業中は吊るして放置。
自重落下後に洗浄剤で洗い流して、
パーツクリーナーで脱脂します。
ほぼほぼパッキン不良で再利用できないラジエターキャップ。
DSCでは冷却水を排出して作業しますので、
再注入後には内圧チェックを実施しています。
ラジエターキャップの密着が悪いと、
内圧が掛からないのでオーバーヒートの原因になりますよ。
キャップも消耗品なので定期交換しましょう。
エンジンを始動して完全暖機。
各学習値を初期化して燃料噴射補正を再学習。
DSCの作業内容をネット公開出来るのはここまで。
(DSCは完全非公開で作業をしています。)
(非公開作業が多いのでご理解の程宜しくお願いします。)
九州から来店される方はフェリー利用が多いですね。
高速道路を往復する燃料代・高速代・体力等を考慮すると、
フェリーの方が良いかもしれません。(ネット割引あり)
・名門大洋フェリー (新門司~大阪南港)
早朝大阪到着で当日夜19時50分の出航の
フェリー来店・弾丸スケジュール。
乗船時間に間に合うように日帰り作業で納車出来ました。
DPFの再生距離と燃費を
後日メールにてレビューいただきました。
(ありがとうございます。)
長文でレビューをいただいたのでマトメました。
・DSC後2回の再生距離 1回目205km、2回目197km。
(言われたようにDPF洗浄をする必要はなかったようです!!)
・燃費は11km/L前後が過去最高の18,5kmに上がった!
・E/G音がアイドリング~3千回転 ちょっと静かになった。
3千~5千回転までスムーズかつ唸り音が無くなった。
そしてレッドまで回る。
・今までDPF再生時にあった500回転アップがなくなり、
再生時のE/G音も気が付かないほど静かになった。
また再生時間も半分ほどになる。
・アクセルレスポンスが改善し、2速発進も容易になった。
ドッカンターボが無くなり、立ち上がりが良くなった。
このレビューを見る限り、
このユーザーさんは結構ブン回す方だと思います。
MT車のアクセラSKY-2.2Dですから、
グイグイ走るとドライブが楽しいでしょうね~。
マツダ資料 引用
クリーンディーゼルであったとしてもディーゼルは
空気を吸ってナンボのエンジンです。
吸気抵抗が過大になれば、
シリンダ内の吸気充填量が低下します。
また新気(酸素)とEGR(CO2)の流入制御が乱れると、
加速レスポンスは著しく悪化します。
DPFの交換や洗浄も無駄な作業ではないのですが、
弊社では(なぜ再生距離が短いのか?)を考慮して
整備作業の優先順位を決めた方が良いかと思います。
インテーク系に煤が蓄積して燃焼状態が悪いなら、
いくら新品のDPFでも再生距離は改善しないでしょう。
燃焼状態をベストコンディションに戻して、
まだ再生距離が伸びないなら、
次の整備を実施しても順番的には間違っていないと
思っています。
DSCでSKY-Dの不具合が全て完治する訳ではないのですが、
大きな原因の一つだと弊社では認識しています。
SKY-2.2D SKY-1.5DのDSC依頼は、
HP(お問い合わせフォーム)からお待ちしていますね。
それではHAPPY CAR LIFE!!