レクサス LS460 サスペンションリフレッシュ&ATF完全圧送式交換。 エアサス交換はどこでやっても一緒と思いますか?
兵庫県からお越しいただいたのは
レクサス LS460 USF40
走行距離112000km
ATF交換とサスペンション整備を含めた
リフレッシュプランのご依頼です。
メールでのメイン相談内容は
ATF交換とサスペンションのリフレッシュ。
新車時から整備をしているディーラーさんに
上記2点を相談するとやや消極的。
ユーザーさんとしては機械である以上は劣化するので、
予防整備を兼ねて依頼したようですが、
あまり良い返事が無かったそうです。
そこで弊社のブログを見ていただいて、
メール相談から予約入庫となりました。
(ちなみにLS460以外の車種とは
リフレッシュプランの内容は若干違います。)
試運転をしてから車両チェックして、
予定していたサスペンション等を分解しますね。
まずはフロントから始めます。
エアサスやハブナックル・サスアーム類、
ブレーキやP/Sギアボックス等を全て外しました。
残されるのはサブフレームのみ。
巨大なエンジンを支えながらサブフレームを降ろして、
エンジンマウントインシュレーターを3点交換しました。
LS460 V8エンジンでも10万キロを超えてくると、
結構微振動がボディに伝わるようになりますね。
LS460本来の静粛性を取り戻しましょう。
次はサスペンションアームを交換します。
これらの部品は前金をいただいて先行発注しています。
(入庫してからの発注だといつ入荷するか分からないので。)
(欠品でバックオーダーになると長い入荷待ちになります。)
アッパーアーム2本 ロアアーム2本、
左右合わせて計8本を交換しました。
後期モデルの対策済みロアアームブッシュでも、
バックリ裂けてブラブラでした。
ニューマチックシリンダー(エアサス)も交換します。
令和元年時点では前期のエアサスと後期のエアサスでは、
1本約3万円ぐらいの価格差があります。
(ノーマル4本で約12万円の定価UP)
ちなみに安いのは後期モデルで、
前期は価格改正が年々酷く、高額ですよ~。
100km/hぐらいの速度領域で
微かな異音が気になるそうで・・・。
これが原因かは不明ですが、
負荷の受けやすいフロント側で、
ボルトオンで交換出来る簡単構造。
手で回したB/Gの感触がやや軽く感じたので、
予防整備として今回は交換する事になりました。
ここまで分解している時に同時交換すれば、
工賃負担は少しで済みますよ。
リア側サスペンションアームのブッシュは、
フロントほど劣化していませんでした。
リアマルチリンクの場合はフロント側に比べて、
ブッシュへの負荷が小さいので、
比較的破損や亀裂は少ない傾向です。
今回はリアシートを分解して、
ニューマチックシリンダーのみ交換しました。
ブレーキは良好で清掃のみでOK。
ブレーキパッドフィッティング用スプリングが、
1点付いていなかったのでKITで交換しました。
ブレーキ・タイヤを装着し、リフトを降下します。
エアサスのエアーが無い状態で完全に降ろすと、
底付してしまうので程よい高さでキープ。
(フェンダーアーチとタイヤの隙間をほどほどで。)
エンジン始動でエアサス用エアポンプを作動させて、
ニューマチックシリンダーにエアを充填。
徐々に車体が持ち上げられてHEIGHT HIGHになり、
その後ノーマル車高に戻します。
エアホースからのエア漏れを泡でチェックして、
アライメントリフトに移動します。
アライメントリフトに移動し、
4輪が接地状態でリフトアップ。
仮締め状態のボルトナットには、
忘れないように黄色のテープを張り付けています。
(まだ仮締めだよ!1Gで締めろ!)という目印ですね。
そこから各アームブッシュを1G締め付け。
ブッシュの不要なテンションを開放して、
ボルトナットを締め付けますね。
この1G締め付けしないとブッシュに捻じれが発生し、
寿命も大幅に短くなります。
LS460に限った作業ではないのですが、
サスペンション整備の基本的な必須作業になるでしょう。
1G締め付け後に軽く試運転をして、
ブッシュ等を馴染ませます。
そして車高の調整作業。
レベル調整用のボルトとナットを回しながら、
微調整するのですがこれも時間が掛かります。
調整しては車高をハイにしてまたノーマルに、
落ち着いてから高さを測定。
下に潜り調整して、運転席で車高操作の繰り返し。
そこからやっとホイールアライメントを調整出来ます。
ちなみに調整前の部品を組付けただけの状態だと、
こんな感じでホイールアライメントはバラバラですね。
(LS460はアライメント調整幅と調整個所が多いよ~。)
ただ部品をチェンジしただけでは、
サスペンション整備とは言えないでしょう。
ちなみにレクサス整備書ではアナログ測定機器を使用して、
ホイールアライメントを調整しなさいと記載されてありますが、
それはかなり無理では??と思います。
アナログな機器でキャンバー・キャスター・SAI、
包括角度にスラスト角などを測定調整するのは、
恐ろしく時間が掛かるでしょう。
ハンター社 最新鋭ホイールアライメントテスター
(WA470 ホークアイ)
イヤサカ ビシャモン マルチアライメントリフト
特注ハンターレッド ロング仕様
エアサス車のホイールアライメント調整は、
エンジンを掛けたり、停止させたりしながら微調整しています。
エアサス制御が掛かるからか?
アライメント数値が常に動き続けるのでまぁまぁ大変。
またエンジンが暖機してラジエターファンが回りだすと、
プチ地獄タイムに突入します。
フロント側の調整作業はE/Gアンダーカバーを外しているので、
車体下の作業者に熱風が直撃するのです。
熱風を浴びたくないので、いつも以上に手際よく調整。
キャンバー・キャスター・トゥ・SAI、
包括角度にスラスト角などをバッチリ整えました。
バタバタしながらでうっかり画像撮影を忘れましたが、
プリントアウトした時の画像は無事残っていました。
プリントした数値はオーナーさんにお渡ししています。
次はATF交換を行いますね~。
フルードをチェックしてからオイルパン脱着洗浄。
ATFストレーナーを交換して、
オイルパンガスケットも交換しました。
磁石に付着した鉄粉も除去して、
元の状態に組付けますね。
排出したフルードも補充して、
ATFチェンジャーに接続し交換準備完了。
まずはプレ洗浄から行います。
NUTEC NC-RF(仮名)
ニューテック謹製リンシングフルードで、
全量圧送式で交換しますね。
辛うじてクリーナーモニターのフィルターが、
見えるぐらいまで透明度が回復。
この状態で約15分間アイドリングで待機。
そこから本命ATFでもう一度交換するのです。
NUTEC史上最高峰のATF
(NC-65) 全化学合成ATF(エステル系)
極薄で強靭な油膜性能は、
ローフリクション・ハイパフォーマンス。
NC-RFからNC-65に入れ替えて、
もう一度圧送式で全量交換します。
キレイに入れ替わりましたね。
次回推奨交換距離は約6万キロになります。
ATFクーラーを洗浄して、フルードレベル調整を行いました。
デフオイルはNUTEC NC-70 全化学合成ギアオイル
こちらで交換しました。
カーエアコンリフレッシュαで冷媒ガスチェック。
全自動冷媒回収再生充填装置
デンゲン社エコマックスJr
NUTEC NC-200 高性能コンプレッサーオイルも注入して、
冷媒ガスをリフレッシュしました。
各機能の初期化・再学習作業をし、
最後に長めの試運転。
しなやかなサスペンションやLSに相応しい静粛性。
スムーズな変速をする8速ATのシフトフィーリング。
高速走行時の微かな異音も無くなり、
本来のLS460に戻ったと思います。
本日もミナト自動車ブログ 日々是好日に、
お越しいただきありがとうございます。
レクサスLSでも10万キロも走行すれば劣化する。
そして部品価格が驚くほど高額。
LS定番のこの作業をすると、
いつも思います。
LSのサスペンション整備ブログをアップすると、
総額費用の問い合わせが増えるのはいつもの事。
今回紹介したサスペンションとATF交換等の総額は約80万円。
前期モデルはエアサス部品定価が高いので、
プラス12万円ぐらいでしょう。(令和元年時の時点では)
約1000万円したLS460の新車価格10%以下の費用で、
乗り心地とATシフトフィーリングが回復するなら、
逆にそんなに高額でもないのかな??と思いました。
それではHAPPY CAR LIFE!!