三菱 デリカD-5 リフレッシュプラン。 中古車購入後に入庫しました。
愛知県からお越しいただいたのは、
ミツビシ デリカD-5 CV5W
H19年式 走行距離8万キロ
リフレッシュプランのご依頼です。
最近中古車購入と同時に弊社のリフレッシュプランをご依頼される方が増えています。
(過去の整備暦が分らない中古車を今後長く良い状態で使用したい。)
納車整備はされているとはいえ、長く使用する愛車なのでやはり本当のコンディションは気になりますよね。
自動車整備業の立場から言えば、前オーナーが車両を手放す前に入念な整備をする事はまず無いでしょう。
ほとんど整備をせずに手放して、次の車両にその費用を掛けるのは普通だと思います。
そんな意味でセカンドオピニオン的な整備には、リフレッシュプランは有効では?とお伝えしています。
予約来店してもらい問診をします。
そこから試運転をして排気ガステスト。
CO・HCともにゼロで燃焼状態は良好。
CO2の数値も問題なし。
オイル漏れ等もなくエンジンの状態は良さそうですね。
事前ホイールアライメントを測定します。
この後サスペンション系の整備を行いますが、その前に入庫時の状態をチェックし記録しておきます。
そうするとビフォーアフターが分りやすいのですよね。
キャンバーの左右差やリアトゥとスラスト角の乱れが気になりますが、これぐらいなら整備後には良い状態に戻せるでしょう。
サスペンションアーム等の大きな歪みも無いと思います。
アーガス社バッテリーアナライザーで充電・発電状態チェック、
こちらも非常に良好です。
数値でハッキリ良好ですとお伝えすると、オーナーさんも安心しやすいですね。
リフトアップしてタイヤを外し、下回りや足周り・エンジン・ブレーキ等を点検します。
ここまでしてから整備プランを制作し御見積を提示。
メールやTELにてご相談しながら最終整備内容を決定しています。
まずはサスペンションやハブ・ドライブシャフトなどの足回り関係から整備しますね。
各部品を分解していきます。
点検時に気になったのがドライブシャフトからのグリス漏れ。
ブーツ自体は破損していないのですが、バンド締付部分からグリスが出てきていますね。
内部のグリスが熱劣化により粘度が低下。
ユルユルになったグリスが、僅かな隙間から漏れてきているのです。
こうなると油膜が確保出来ずベアリングの磨耗が始まりますので、そうならない為の予防整備で洗浄分解O/Hを行います。
ちなみに新品グリスはバターぐらいの粘度。
画像のように劣化したグリスはオイルのようにシャバシャバ。
キレイに洗浄をしてから、
純正ブーツ&グリスKITでO/Hを行います。
アウター側のブーツバンドは非常に固いので専用SSTでカシメて、隙間を測定しながら基準値内に収めますね。
インナー側のベアリングは洗浄しながら印を付けます。
(結構手間が掛かる地味な作業)
ベアリングの裏表・スプラインのズレなど全く同じ場所に同じように組み立てし、アタリが変わらないようにしています。
ここまで整備すれば、8万キロから10万キロは良い状態で使用出来るでしょう。
フロントハブベアリングも打替交換しますね。
ベアリングに負荷が掛からないように、適切な位置に適切な冶具を使用して慎重に圧入していきます。
亀裂の入ったステアリング タイロッドエンドブーツ。
これが破損すると車検には合格しないので、予防整備でリフレッシュしました。
グリスを打ち直して新しいブーツを装着します。
ショックアブソーバーはメール相談時に交換をお聞きしていたので、事前にカヤバ・ニューSR-Sを取寄せました。
その他のショック消耗品はオール純正品で交換します。
フロントロアアームはASSYで交換します。
このタイプの三菱ロアアームはブッシュとボールジョイントブーツの部品供給があるのですが、肝心のB/J自体の供給はないのでASSY交換をオススメしています。
ロアアームのボールジョイントのガタは見逃すと危険ですからね。
リアのサスペンションもリフレッシュ。
ショックアブソーバーを交換しますね。
負荷の掛かりやすいリア-ロアアームはブッシュのみの交換が可能。
B/Jが無いリアロアアームはブッシュの部品供給があるので、
ASSY交換よりも安価でリフレッシュが出来るのです。
基本的に国産メーカーはあまりブッシュの単品供給をしないのですが、ミツビシとスバルは比較的に供給してくれますね。
中空ロアアームを破損させないように、SSTを使用して交換しました。
(SST無しでプレスで押すだけではアームを潰してしまいますよ~。)
前後スタビライザーのブッシュも同時交換。
磨耗が激しいブッシュなのでギシギシ音が発生する前に交換しましょう。
ブレーキもリフレッシュ。
キャリパーを外して内部を点検し、完全洗浄します。
キャリパーのホルダー側のスライドピンも洗浄し、ブーツを交換してグリスを注入。
ここの潤滑が無くなるとパッドの片効きや引き摺りの症状が出てきますね。
スライドピンに少し錆がありましたので、古いグリスを洗い流して軽くホーニングしてあげました。
ディスクローターは研磨にて再生。
薄~く薄~く研磨していきますので限度厚を十分残して仕上げています。
最後に耐熱塗装で化粧直し。
これでまだまだ長く使用出来るでしょう。
ブレーキパッドも交換しました。
バックシムを洗浄してWAKO’S BPR高性能グリスを塗ります。
サスペンションやブレーキ等を組み立てて、ブレーキフルードを交換しながらエア抜き作業を行います。
CVTFも圧送式で交換しますね。
(デリカD-5の前期であれば圧送式交換は可能です。)
オイルパンを外して洗浄し磁石の鉄粉を除去、
フルードストレーナーも同時交換しました。
組み立ててからフルードを注入して、まずはプレ洗浄を行います。
使用するプレ洗浄フルードはNUTEC ニューテックNC-RF リンシングフルード。
プレ洗浄が終われば本命フルードでもう一度圧送式交換を行います。
使用するフルードはNUTEC NC-65
全化学合成フルード(エステル系)
市販フルードでは最強レベルの油膜性能を誇り、
耐久性は異常に高くロングライフにお使いいただけます。
唯一の欠点は純正より遥かに高額なフルード価格。
それでも弊社ではほぼ9割このフルードの指名があり、リピート率も高いですね~。
キレイに入れ替わりましたね。
ここまでキレイになれば次回交換推奨距離は6万キロとお伝えしています。
フルード温度を監視しながらレベル調整を実施し、CVTF劣化度カウンターをリセットして初期化します。
エンジンメンテは良好ですがスロットルボディの汚れが多め。
おそらく1度も清掃してなさそうですね。
WAKO’S専用クリーナーでキレイに洗浄し、学習値を初期化します。
LLCもラジエターリフレッシャーで圧送式交換。
LLCを全量交換して再生強化剤を注入し、エア抜き作業を行いました。
(カーエアコンリフレッシュα)
年々減少する冷媒ガスを全量回収してリフレッシュ。
NUTEC NC-200を同時に注入してコンプレッサーオイルを強化し潤滑性を高めます。
アライメントリフトに移動し各アームブッシュを1G締付して、
ブッシュの不要なテンションを開放しマシ締めします。
1G締付する箇所は忘れないように黄色いテープで印を付けて、作業が完了したらマーキングしています。
そこから軽く試運転をしてブッシュやショックのマウントなどのゴム部品を馴染ませてホイールアライメントを調整しますね。
ハンター社アライメントテスター ホークアイWA470
イヤサカ ビシャモン アライメントリフト
最新鋭のテスターに高精度の水平レベルを確保したリフト。
(定期的に更正作業をして性能を維持しています。)
組み立ててスグの状態がこんな感じの数値。
それを調整しながら合わせていきます。
デリカD-5のように調整機構が少ない車両は、調整作業が大変ですね。
また弊社のように測定した数値をネットに公開している整備工場も少ないでしょう。
別に隠すものでもないので公開していますし、調整後のデータはもちろんプリントアウトしてお渡ししています。
また納車時には画像をお見せしながら整備内容を説明させていただいて、今後の整備必要箇所もあればお伝えしています。
作業時の画像は平均150~200枚は撮影しており、希望があれば画像もお渡ししています。
本日もミナト自動車 日々是好日に、
お越しいただきありがとうございます。
リフレッシュプランのご依頼・ご相談はHP(お問い合わせフォーム)からお待ちしていますね。
(リフレッシュプランっておいくらですか??)とメール相談があるのですが、こんな感じで各車両に合わせて整備プランの見積しているのでなかなか答えられないのが現状。
宜しければ弊社ブログ 何年何月の○○○の作業はいくら費用が掛かりましたか?と聞いていただける助かります。
よく似た車種からある程度参考にしてもらえると整備費用の準備もしやすいかと思いますので。
それではHAPPY CAR LIFE!!