兵庫県からクラウンGRS202 リフレッシュプラン。 直噴ガソリンエンジンの煤蓄積。 DSCで完全除去作業。
兵庫県西宮市からお越し頂きました。
トヨタ クラウン GRS202
3GR-FSE 直噴D-4エンジン
走行距離 5万キロ
リフレッシュプランのご依頼です。
・年式が10年経過し、今後も長く良い状態で使用したい。
・希望する整備の優先順位1位がDSCで、
ブレーキ系・サスペンション系・ATF交換を予算内で。
こんな感じでメール相談を頂いたのが去年の年末頃、
スケジュールを調整し2月上旬に入庫して頂きました。
問診をしてから試運転。
事前ホイールアライメントを測定し、
リフトアツプしてから車両全体を点検します。
アナライザー・テスター等を総動員して、
デジタル・アナログ両面から点検しますね。
・オーナーさんが希望する整備
・弊社が点検結果から推奨する整備
二つを合わせたオススメ整備プラン見積を
提案させて頂きました。
プラン内容をTELにてご説明し、
内容にOKが出ましたので作業を始めますね。
まずは弊社オリジナル整備 DSC
(ドライアイス・ショット・カーボンクリーニング)
レクサス・トヨタGR系直噴エンジンは
インテークバルブ及びポート内に、
大量カーボンが蓄積するのはご存知だと思います。
狭く深いインテークポート内で蓄積し、
固着したカーボンはなかなかガンコで
GR系エンジンを手作業での完全除去はほぼ不可能でしょう。
ですが弊社が開発したDSCなら短時間に、完璧に、
エンジンにノーダメージで除去可能なんですよ~。
サージタンクを分解すれば、
スワールコントロールバルブが見えてきました。
付着しているオイルはブローバイからのE/Gオイル。
この先でオイルと煤が混ざり合い、
燃焼熱で固着硬化します。
サージタンクで6個に分かれた吸気経路は、
S/Cバルブで12個の経路に分かれます。
このバルブ開閉でシリンダー内に導入される吸気に
スワール渦流(横渦気流)を起こし燃料との攪拌を促進します。
作動例
エンジン低回転時 (バルブ閉 スワール発生)
エンジン高回転時 (バルブ開 タンブル発生)
※タンブル(縦渦気流)
S/Cバルブの奥がシリンダーヘッドの吸気ポート。
6気筒12個のポート内を覗いてみますね。
ポート手前から奥のインテークバルブまで、
ビッシリカーボンが蓄積していますね。
バルブ傘部に固着したカーボンは非常に強固、
ガチガチに固まっています。
インテークポートの内径にも
厚み1mmぐらいのカーボン蓄積。
普通であればお手上げ状態ですよね。
グリーンテック社ドライアイス洗浄機と、
DSC特殊ノズルを使用して、
カーボンを除去していきます。
ドライアイスペレットを圧縮空気で高速噴射。
ペレットは指で潰せるほど柔らかく、
ドライアイスの特性(熱収縮と昇華爆発力)で剥離させます。
軽く数秒ショットすれば、
ペレットが直撃した部分だけ剥離しましたね。
直径4cm 深さ15cmの筒状になっていますが、
数種類のDSCノズルを使い分けて
完全に除去していきます。
トヨタ・レクサスの2GR-FSE・3GR-FSE・4GR-FSE。
これらのエンジンなら日帰り作業で除去が可能です。
GRエンジンでここまでキレイで鮮明な画像を
ブログ公開している整備工場は
おそらく弊社以外は無いと思いますよ~。(自社調べ)
BMWやミニ・アウディVWなどの直噴は、
比較的ポートの径が大きく、深さも数cmなので
輸入車のショップさんでは多少の作業実績があるそうですね。
このGRエンジンの場合は狭い・深いポート形状のため、
手作業でしてね!と言われたら私なら断ると思います~。
(メッチャ大変で何日掛かるやろか~?)
S/CバルブもDSCでキレイにしました。
純正ガスケットを使用して、
組み立てていきますね。
サージタンクにも吹き返したカーボンが付着しているので、
こちらは洗浄剤で洗い流します。
スロットルボディも清掃し、
エンジン始動で完全暖機。
学習値も初期化してあげると、
DSCは終了ですね。
作業時間は約6時間ぐらいです。
(もちろん日帰りでもOK)
燃焼室内に直接燃料を噴射する(直噴エンジン)は、
従来型のポート噴射より高圧&微粒化して
ガソリンを噴射しています。
ですがいくら微細化しても水滴状のガソリンが、
完全に気化するまでには時間が必要です。
直噴エンジンは噴射から点火燃焼までの時間が
あまりにも短すぎるので気化する前に点火燃焼が始まる。
まだ気化していない水滴状の燃料は、
燃焼熱で炭化し煤(カーボン)になる。
ほんの僅かな煤発生も(塵が積もれば山になる)
その結果が強固で大量のカーボン蓄積となるのです。
ちなみに煤になった燃料はパワーを産まないので、
燃費的にもパフォーマンス的にもムダですよ~。
設計時の計算されたスワール渦流・タンブル渦流も、
バルブの形状が変わるほど煤が蓄積すれば、
性能が発揮出来ないのは想像が出来ると思います。
今販売されている新型ガソリンエンジンは、
国内外問わずほぼ直噴エンジンでしょう。
海外では直噴カーボン蓄積をいろんな手法で洗浄していますが、
結構雑な方法で無理やり除去してますね。
(お国柄の違いでしょうけど・・・。)
第一希望整備のDSCは終了しましたので、
リフレッシュプランは次の作業に移ります。
続きは次回ブログで紹介しますね。
それではHAPPY CAR LIFE!!