アイシス ANM10 リフレッシュプラン。 1AZ-FSE 直噴エンジンのカーボン除去作業。 微振動の原因は?
大阪府南部からお越し頂きました。
トヨタ アイシス ANM10G
走行距離 100,000km
リフレッシュプランのご依頼です。
・暖機後の加速時に微振動。
・ハンドルを切ると微振動。
ディーラーさんにてスパークプラグを交換しても改善せず、
足回りの劣化も気になりだしたので、
弊社の提案型整備リフレッシュプランをご相談されました。
http://minato-motors.com/blog/?p=12375
ありがとうございます。
問診をさせて頂いてから、まずは試運転。
振動や異音等を確認するのですが、
あまりにもノイズが多く判別不能・特定不能。
・サスペンション劣化でのノイズ。
・タイヤからのロードノイズ。
・エンジンからメカニカルノイズ。
・信号待ちのDレンジでは車体が震えるような振動。
10万キロの車両にしては結構ノイズが酷いですが、
でもこの車両ではよくある症状ですね。
電子制御スロットルボディを清掃し、
学習値を初期化。
それでも症状は改善せず、
やはりアレが原因でしょうかね。
トヨタ 1AZ-FSE D-4直噴ガソリンエンジン 2000cc
搭載されている車種は
ノア/ボクシィー ウィッシュ アイシス などなど。
早い車両なら7万キロぐらいから振動が増え、
10万キロも使用すればビリビリ・ゴロゴロと異音を発生し、
エンジン回転数は安定せず、燃費も悪い。
このエンジン搭載する車種特有の
あるある症状ですね。
作業前にアライメントを測定して、
足回りのコンディションをチェック。
大幅なトゥアウトは
今までアライメント調整をしていなかった証拠ですね。
今回はサスペンションのリフレッシュが必要でしょう。
排気ガステストで燃焼状態をチェックし、
スキャンツールでライブデータを観察。
タイヤを外して下回りの点検。
・ウォーターポンプからのLLC漏れ。
・ブレーキの機能劣化・低下。
・サスペンションブッシュの破損等。
車両全体を診断し
予算に合わせた整備プランを提案しました。
結論から言いますとエンジンを降ろして、
根本的な所から改善するプランニング。
順番に紹介しますね~。
1AZ-FSE 直噴エンジンは
インテークバルブ・インテークポートに、
直噴特有のカーボンデポジットが蓄積します。
これを除去するにはオーバーホールするか?
弊社オリジナル整備のDSCのどちらかですが、
オーバーホールでは予算的に合わない。(結構高額)
しかも1AZ-FSEはインテークの向きが後ろ向き。
ワイパーのガーニッシュに埋もれて、
全く見えないインテークサージタンク。
エンジンとバルクヘッド壁との隙間がほぼ無いので、
DSCをしたくても作業スペースが無いのです。
そこで昇降式電動テーブルリフトで
サブフレーム等の5箇所をホールドし、
サクサクッとエンジンとミッションを降ろします。
今回のプランにはDSC以外にも
W/P・ロアアーム・シール・ガスケット類を多く交換するので、
エンジンを降ろした方が経済的で作業が早い。
個別にバラバラに交換するより
エンジンが降りている時の方が、
各工賃が大幅に安くなる。
車両総合的に整備するリフレッシュプランの利点を活かします。
10万キロ走行した車両を
DSCの為だけにエンジン脱着は
モッタイナイのですよ~。
EGRバルブや樹脂製サージタンク、
スワール・コントロールバルブなども分解。
それではインテークバルブとポートを覗いてみますね。
トヨタ D-4 GRエンジンと同じように、
バルブ傘部とポート内径にビッシリ蓄積していますね。
これでは空気の流れが悪くなり、
シリンダー内での燃料攪拌が低下するでしょう。
混合気にならず完全燃焼せず、
煤が出てパワーダウン。
AZ系エンジンの吸気ポートは非常に狭~く深いです。
望遠レンズのデジカメ撮影すると、
圧縮効果でそんなに深いようには見えないと思いますが・・・・。
直径は十円玉より少し大きいぐらいで、
ポートの深さは約15cm。
狭く細く深いので
手作業でのカーボン除去はほぼ不可能。
(参考)
レクサス・トヨタ GRエンジンは深さ約10cm。
VWパサートの直噴エンジンは5cmぐらい。
マツダ sky-D 2.2D は深さが8cmぐらいかな。
AZ系エンジンは結構深い部類でしょう。
DSC(ドライアイス・ショット・カーボンクリーニング)
ドライアイスの昇華爆発力と熱収縮を利用し、
ドライアイス洗浄機でキレイに除去します。
1気筒づつ圧縮上死点にセットして
軽く数秒DSCショットすれば、
強固に固着したカーボン片が剥離します。
ドライアイス3mmペレットが直撃した部分だけ、
キレイに剥離しましたね。
もちろんエンジンにはノーダメージです。
まれにこんな塊で飛び出すので、
どれだけ酷いか分かると思います。
それではキレイになるまで
ショットを繰り返します。
4気筒8ポートすべてキレイに除去しました。
ガスケットを交換して組み立てますね。
深すぎるポートは撮影が難しいですね~。
ピントが合い難く大変でした。
こんな状態ならボルト・ナットを数個外すだけで、
簡単に交換できるので作業が早い。
ウォーターポンプASSYや
クランクフロントシールも交換しました。
車上整備ではやりづらいE/Gマウントインシュレーター交換も、
サクサク外して全4点を交換しました。
スタビブッシュも交換します。
サーモスタッドや
ヒーターホース類も同時に交換。
ガスケットやパッキンシールも、
エンジンが降りた状態なら簡単ですね~。
この後サスペンションを一新するので、
この段階でロアアームASSYも左右交換。
リアブッシュは亀裂が大きくなっていましたね。
エンジンを車体に載せて、
元の状態に組み立てます。
LLCもラジエターリフレッシャーで圧送式交換。
エンジンを始動して暖機、
スキャンツールでライブデータを確認。
まだ足回りは切り離した状態なので、
とりあえずエンジン側は終了しました。
次回ブログでは引き続いてアイシスの、
サスペンション一新とCVTF圧送式交換を紹介しますね~。
HAPPY CAR LIFE!!
(追記)
納車後のレビューでは振動が全く無くなり、
燃費は1~2km/Lほど伸びたようですよ~。