GRS184 クラウンのリフレッシュプラン。 こんな感じで進めています。
最近ブログで紹介する機会が多い
提案型整備(リフレッシュプラン)
ある程度の年式と走行距離が経過した車両を、
一度リフレッシュして新車時に近い状態に
戻してあげるのが目的です。(予算の限り)
よくある定期点検や車検整備とは少し趣旨が異なり
お預かり日数や費用が掛かりますが、
良いコンディションで長く愛車を使用するのも、
一つのカーライフスタイルではと提案しています。
(結構遠い所から入庫されていますが、
皆さんどうされているのですか??)
と日帰り作業で入庫された方によく質問されます。
数週間預かるリフレッシュプランの場合は
2往復をする事になるので、
・預けてから新幹線(鉄道)で帰られる方
・代車で帰られる方
・入庫時or納車時どちらかを陸送される方
の3通りが多いですとお答えしています。
今回リフレッシュプランでの入庫車両は、
広島県からお越し頂いたトヨタ クラウン GRS184
走行距離122000km
予約入庫から問診をさせて頂いて、
試運転後に車両点検をしていきます。
排気ガステストで燃焼状態をチェック。
アイドリング時の排気ガスは
特に問題なさそうですね。
ちなみに車検時の合格基準は
CO 1,00%以上
HC 300ppm以上
とかなり甘~い基準ですから、
車検に引っ掛かるようではかなりヤバイです。
スキャンツールG-SCAN(インターサポート社)を
接続してライブデータの確認。
気になる個所を中心にチェックしていきます。
暖機後のアイドリングでは特に問題ない数値ですが、
O2センサーにやや劣化が見られるようです。
(A/Fセンサーはまだ大丈夫)
今すぐ交換する緊急性はないですが、
今後の整備課題とお伝えしました。
ブレーキ関係・バッテリー充電状態なども
チェックしつつ、
ハンター社アライメントテスターで
入庫時の足回り状態もチェックします。
アライメント数値に異常があれば、
プラン内容も大きく変わります。
経験や勘だけでは追いつかないほど、
車両側が進化していますので
デジタル・アナログをうまく使い分けながら
車両全体を診断し整備プランを制作しています。
オーナーさんに整備プランを提案し、
OKが貰えれば作業を始めます。
予算オーバー分や修正個所があれば、
ここでお聞きしていますよ。
まずはオルタネーターのワンウェイクラッチプーリー交換。
対策前のプーリーでしたので、
キャップを開けてチェックします。
茶色い磨耗粉が発生していますね。
酷い場合はキャップから飛び出て
周辺が汚れているんですよ~。
これが壊れるとベルト異音が発生し、
ベルト寿命を縮めます。
また酷いガタ振動を放置し続けると、
オルタネーターの軸が歪み
オルタネーター全交換となるんですよね。
そんなに高価な部品ではないので、
予防整備で交換しましょう。
SST特殊工具を使用して
対策品の純正プーリーに交換しました。
注文すると毎回カナダ製のプーリーが届きます。
ちなみに壊れた古いプーリーもカナダ製ですね。
特許の関係でしょうか?
サーペンタイン式のオルタベルトも交換するので、
アイドラプーリーも同時交換。
これはASSY交換になります。
テンショナープーリーは単体供給が無く、
テンショナーASSY交換になり結構高額になります。
このタイプのテンショナー自体はそう簡単には壊れないので、
今回はプーリーのベアリングのみを打ち替えますね。
内蔵2連ベアリングを
国産ベアリングに交換すれば、
まだまだプーリーは使用できますよ。
前後ディスクブレーキをリフレッシュします。
パッと見ただけでローター面の色が悪いですね。
(パッド当り面が黒すぎるね。)
フルード漏れは無いですが、
10年12万キロも使用すればシールの柔軟性は低下します。
音鳴りや引き摺りの原因にもなるので、
定期的なO/Hは必要でしょう。
アルミ対向4ポッドキャリパーを分解し、
ピストンの状態をチェック。
良好な状態なので洗浄して再利用します。
キャリパーの構造は非常に単純。
こんなゴムシールの柔軟性で気密性保持と
クリアランス調整・振動吸収などをしています。
経年劣化でゴムが硬化し、
シールの柔軟性が無くなれば
どうなるか?は・・・・想像通りですよ。
洗浄してからブーツ・シールを交換し、
数回ピストンを出し入れします。
ブーツゴムが正確に装着されているか?
ピストンの動きがスムーズか?
車両に取り付ける前に再確認。
リア側のシングルピストン浮遊式キャリパーも、
同じくオーバーホールします。
弊社ではキャリパー・ピストンは徹底的に洗浄しますが、
サンドブラスト処理やキャリパー塗装などは
推奨していません。
やるメリットよりデメリットの方が多いので、
洗浄のみで留めますよ~と説明しています。
それよりスライドピン部のグリスアップ。
こちらは非常に重要なので、
定期的に実施してくださいね。
クラウンのブレーキパッドは攻撃性が高くないので、
ディスクローターは研磨作業で再利用します。
研磨をするとガッツリ削って、
厚みが無くなると思われますが
実際はコンマ数ミリ削るだけ。
両面合わせても
1mm削る事はないですからご安心を。
ディスクローター研磨後の
艶消しブラック耐熱塗装。
(ちなみに新車時も艶消しブラック。)
600℃までOKの特殊塗料ですが、
これはあくまでも化粧直し程度。
もともと錆びやすいローターですので、
完璧な防錆はいらないと思っています。
研磨したついでにサラッと薄く塗装し、
ビジュアル的にリフレッシュ。
数キロの走行すれば
パッド当り面のみ塗装が剥がれますよ。
少し前に地元で交換されたTOM’Sブレーキパッドは
残量が9割ほど残っています。
新品に交換するのはモッタイナイので、
今回は軽くペーパー掛けして再利用。
推奨する作業ではありませんが、
わずかなデメリットは今回は良しとしますね。
ですが最近交換したのに、
シムグリスがまったく無いですね。
これでは本来の性能は
発揮出来ないと思いますよ~。
僅かに残った硬化した古いグリスを、
パーツクリーナーで洗浄します。
それから耐熱・耐久・防振性を高めた WAKO’S BPR
高性能パッドグリスを薄く均等に塗り込みますね。
普通のパッドグリスよりも、
かなりネバネバしていますが
低温・高温でも安定した性能を発揮します。
一般走行使用なら十分過ぎるほど、
ハイスペック・パッドグリスです。
ブレーキフルードも交換しつつ、
エア抜き作業を行いますね。
非常に交換しずらいエンジンマウントも交換します。
フロント左右は液体封入式ダブルオリフィスマウントも、
長年の使用で振動・騒音性能は低下します。
リア側も同時交換しますね。
これで不快なエンジン振動も軽減されるでしょう。
そんな訳でクラウンGRS184の
リフレッシュプランは進んでいます。
まだまだリフレッシュ作業は続きますが、
ブログ第一部はここで終了。
第2部・3部もありますので、
しばらくお待ちくださいね~。
それではHappy Car Life!!